平成26年度は2ヶ年の研究計画の最終年度であった。計画では、1.市史やヒアリング調査などに基づく市街地形成史の解明、2.土地利用現況図や住宅地図に基づく市街地の空間形態の変遷過程の解明、3.ヒアリング調査などに基づくまちづくり主体の街づくりとの関わりの歴史的経緯の解明、4.タウン誌などに基づく街のブランドイメージや来街者属性の変遷の解明の4つの作業を挙げていたが、平成26年度はこの4つの調査項目のうち、調査項目2、4について実施した。 具体的には、研究対象地区である東京都目黒区自由が丘地区と東京都渋谷区代官山地区について、調査項目2として、国土地理院基盤地図によるGISデータベースを構築し、土地利用状況を入力した。過去の土地利用については住宅地図を主な情報源とする予定であったが複合ビルの場合は詳しい土地利用が判別できない等の問題があり、タウン誌掲載情報等で補完することなり一部データが揃わないなどの問題が生じた。 調査項目4のタウン誌調査については過去30年間の研究対象地区に関する全てのタウン誌記事全3061ページを入手し、掲載雑誌数、掲載ページ数、掲載店舗、GISを活用した掲載エリアの変遷、掲載内容のキーワード等、多面的な分析を実施し、自由が丘地区と代官山地区の街のブランドイメージの変遷を解明することができた。 2ヶ年の研究成果を総合すると、賑わい醸成の要因は複雑かつ地域により多様であり、自由が丘地区、代官山地区とでもその特徴にやや差が見られた。具体的には、自由が丘地区はタウン誌によって形成されるブランドイメージを街づくりに取り入れてさらなる発展を遂げていること、代官山地区はタウン誌の効果もあり商業エリア化が進行する中、一定の商業化を受け入れつつ従来の落ち着いた環境を維持しようとする街づくり活動によって、その価値がさらに向上していることが明らかになった。
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