本年度は、研究年度最終年として、研究成果をまとめた。金沢市における研究の成果として、特に空間的・営み面からの耐力モデルの分析として、中心部の新幹線前後の半開放としてのコミュニティの実態を査読論文としてまとめた。論文におけるキーワードとして、「地方都市型のジェントリフィケーション」を用いて、成熟都市に外部からの力が流入した状況の分析のために、「再投資」と「目的地化」という評価軸で分析を行った。その結果、日本における地方都市型のジェントリフィケーションとして、「既存の建物に再投資が起こり、地価のレベルと連動した動きを持つ再投資の規模の大小が『目的地化』(人々が訪れる目的地としての価値をもつこと)の質を規定すること」が起きていると結論づけた。これは、半開放状況、外部からの力に対して、地域がどのように反応し、変化していくかというモデルとして発見したことであった。また、特にアクションスタディにおける成果として、共著として「金沢らしさとは何か」という本の出版に至った。これは、地域らしさ=地域の耐力モデルのありかたや状況についての議論、調査、聞き取りを行ってきた成果の1つであり、ここから営みや生活面における耐力モデルとしての実態を明らかにし、広く共有するに至った。 また、東京における調査分析として、これまでのアクションスタディから、"A Discussion of “After”with Community: urban design practice in a high-density area"として、地域への変化圧力「後」についての学会発表を行った。 このように、今年度はこれまでの蓄積として、金沢と東京におけるケーススタディエリアの理論的まとめを主に成果として発表した。
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