研究課題/領域番号 |
25820307
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
赤松 加寿江 京都工芸繊維大学, グローバルエクセレンス, 講師 (10532872)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | イタリア / 丘陵 / ブドウ生産 / 採石 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、ヴェネト州ヴァルポリチェッラ、トスカーナ州のセラヴェッツァにおける調査を行った。ヴァルポリチェッラの調査はソアヴェ調査を経て、横につらなる領域へと研究の展開が必要になったためで、当初の予定を変更しての調査となったが、史料の量と質、実測、聞き取りいずれにおいても成果をあげることができた。セラヴェッツァについてもヴィラへの訪問、史料室での史料収集を果たすことができた。 ①ヴェネト・ヴァルポリチェッラ:ヴァルポリチェッラはソアヴェ(平成26年度調査地)と近接しながらも、土壌、地形において対照的な地域にあたり、ヴェネト地方における丘陵地帯の実態を明らかにする端緒をつかむことができた。ブドウ生産地であると同時に、大理石の採石地であることからも、一帯の領域調査を行った。集落サン・ジョルジョでは、都市で建築実測と聞き取りを行うことができたほか、ソアヴェとヴァルポリチェッラにおける土地所有に関する史料は、ヴェローナ国立古文書館において収集を行った。 ②トスカーナ・セラヴェッツァ:セラヴェッツァの調査は、現存するメディチ家のヴィラ・セラヴェッツァの実見および史料収集を行った。銀生産と大理石生産の流通拠点であった当ヴィラはヴァルポリチェッラの流通形態と比較することのできる領域として位置づけることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査地に変更が生じているが、これは調査を進めていくなかで、より有意義かつ潤滑な調査を展開させるために必要不可欠なものである。当初、計画した調査地は、トスカーナとヴェネトの二つの地域を比較対照させるにあたり、標高をパラメータとして選択したものであったが、実際に調査をすすめていくうちに、生産物の内容や、集積地としての役割、都市存立理由といった背景から比較対照することが必要と考えたためである。したがって調査地の変更はあるものの、調査内容はおおむね順調に進展しているといえ問題ない。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる平成28年度の調査はトスカーナにおけるブドウ生産地である丘陵カルミニャーノと低地のエンポリ、ヴェネトの低地ポルト・トッレからコマッキオを調査地とする。これによって、丘陵における防備集落としてのアゾロ、大理石生産を行うヴァルポリチェッラとセラヴェッツァ、ブドウとワイン生産を中心とするソアヴェとカルミニャーノ、低地の近代産業地エンポリとコマッキオとを対照させ、トスカーナとヴェネトの生産的居住の空間と社会構造の比較検証を行うことができる。当初の予定からの変更はより適当な調査地での調査を行っているためであり、より明快な対称軸を据え、研究の成果を示すことができると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度のヴァルポリチェッラの調査は、昨年度ソアヴェ調査における現地のイタリア人調査協力者の力添えで、迅速かつ短期間にて調査を実施することができた。またセラヴェッツァの調査についても、事前の準備を国内で集中的におこなったため、短期間で実施することができたため、助成金を圧縮することができた。
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次年度使用額の使用計画 |
最終年度となる次年度は、イタリア現地における長期的な調査を予定しているため滞在費での使用を予定している。また当初予定とは調査地の変更もあったため、再度研究の全体像をみなおしながら、最終的な補足調査や史料収集に使用する予定である。
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