• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2016 年度 実績報告書

イタリアにおける地理的領域と生産拠点に関する都市史的比較研究

研究課題

研究課題/領域番号 25820307
研究機関京都工芸繊維大学

研究代表者

赤松 加寿江  京都工芸繊維大学, グローバルエクセレンス, 講師 (10532872)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
キーワードトスカーナ / ヴェネト / 生産拠点 / メッツァドリア / ヴィラ / 丘陵都市
研究実績の概要

最終年度はソアヴェとカルミニャーノの調査を完了し、ヴェネトとトスカーナにおける生産的拠点の比較分析を行った。
ソアヴェ調査は、①1815年のナポレオン期カタスト史料を入手し、地形、土地利用、土地所有者の社会属性に関する分析、②都市内水路の形成と暗渠化に関する史料調査、③葡萄畑と醸造所の立地と空間構造について領域史的観点からから分析した。これは、領域と社会構造を歴史的に遡及し分析する意義を持ち、城塞都市という理解を超えたソアヴェの生産居住核としての側面を解明した点で重要である。
カルミニャーノ調査は、現地の研究者の協力を得て、①地形、地質、植生がつくる領域構造の把握、②メッツァドリア(折半小作制)が土地所有と生産構造を規定したことを示す3つの生産拠点類型ヴィラ、ポデーレ、カーザ・コロニカの実測調査、③斜面地形と地質にもとづく耕地と集積・加工建物の空間構成の分析を行った。カルミニャーノは18世紀から地理的原産地呼称が定められた地域であり、歴史的に保全が目指された産品と生産空間と領域構造を解明したことは、文化的景観の価値解読という点からも重要な意義をもつ。
以上、本研究は研究期間全体をとおして、ヴェネトとトスカーナという2つの地域の生産拠点を対象に、領域史的視点から地域の空間と社会構造を解明した。地域が異なっていても、地理的、気候的環境が類似している場合は2つの地域には同質な生産環境が存在しているが、ヴェネトにおけるヴィラを中心とした生産拠点と、トスカーナにおけるメッツァドリアにもとづく生産拠点とでは空間=社会構造には大きな相違があり、景観的相違に結びついていたことが確認できた。一連の生産加工プロセスの観点から地域を捉え直そうとする本研究は、領域史研究の新たな視角と方法論をもち、生業と都市のありかたを総合的にとらえる文化的景観の基礎研究へと接続する重要性をもつ。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (2件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] 「トスカーナ州カルミニャーノにおける生産構造の領域史的研究」2017

    • 著者名/発表者名
      辻本悠真、青山貴宥、鮎川なつき、赤松加寿江
    • 雑誌名

      『日本建築学会学術講演梗概集』

      巻: 1 ページ: 印刷中

  • [学会発表] The social and cultural role of Villa in Asolo2017

    • 著者名/発表者名
      Kazue AKAMATSU
    • 学会等名
      International Conference in Asolo
    • 発表場所
      Teatro Duse in Asolo
    • 年月日
      2017-09-18
  • [学会発表] 「トスカーナ州カルミニャーノにおける生産構造の領域史的研究」2017

    • 著者名/発表者名
      辻本悠真
    • 学会等名
      日本建築学会大会
    • 発表場所
      広島工業大学
    • 年月日
      2017-08-31
  • [図書] 「近世ヴィラにみる大地と資源」並木誠司編『表象された都市』2017

    • 著者名/発表者名
      赤松加寿江
    • 総ページ数
      144-166
    • 出版者
      昭和堂
  • [図書] 「近世ヴェネトにおける旧城砦の土地」「アゾロのヴィラにおける社会的、文化的役割」伊藤毅編『アゾロの都市と建築』2017

    • 著者名/発表者名
      赤松加寿江
    • 総ページ数
      未定
    • 出版者
      鹿島出版会
  • [図書] 「城塞都市の平和化:ソアヴェの空地と居住」伊藤毅編『危機都市論』2017

    • 著者名/発表者名
      赤松加寿江
    • 総ページ数
      未定
    • 出版者
      東京大学出版会

URL: 

公開日: 2018-01-16  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi