研究課題/領域番号 |
25820309
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
梅干野 成央 信州大学, 工学部, 助教 (70377646)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 国立公園 / 山岳建築 / 意匠論 / 山小屋 / 建築史 |
研究概要 |
国土の大部分を山岳地が占める我が国では、近代以降、山岳地の自然景観が広く発見され、その一部の優れたものは、昭和6年に施行された国立公園法を契機として保全されてきた。本研究は、国立公園法の施行を契機とした山岳建築の意匠論とその展開過程を把握し、我が国における自然景観をふまえた建築意匠論の萌芽と方向性を、山岳地に即して捕捉するものである。具体的には、国立公園協会が発行した『国立公園』を基礎資料として、このなかで論じられた山岳建築に関する意匠論を主な分析対象とし、平成25年度に【資料整理】と【基礎研究】を行い、平成26年度に【事例研究】を行う。 【資料整理】:国立公園法の施行を契機とした山岳建築の意匠論の抽出・整理 【基礎研究】:国立公園法の施行を契機とした山岳建築の意匠論に関する展開過程 【事例研究】:山岳建築の設計競技における作品とその評価の方向性 平成25年度の前半には、【資料整理】を進めた。昭和4年から昭和19年までに発行された『国立公園』を基礎資料として、このなかで論じられた山岳建築に関する意匠論を時系列にそって抽出・整理し、山岳建築に関する意匠論の著者と題目に即して、言説・建築作品を一覧にした。平成25年度の後半には、【基礎研究】を進めた。『国立公園』に所収されている山岳建築の意匠論について言説・建築作品を通時的に分析し、国立公園法の施行を契機とした山岳建築の意匠論とその展開過程を把握した。その結果、国立公園法の施行を契機とした自然の風景地にたつ建築の意匠論が、もっぱら、山小屋を代表とする山岳建築に即して展開されてきたこと、また、この過程には、意匠論を具体化した建築作品も設計されており、とりわけ、岸田日出刀による殺生小屋の設計をその先駆的な事例として位置づけられること、を把握した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度に行う予定であった【資料整理】と【基礎研究】については、おおむね完了した。とはいえ、研究成果のまとめには至っていないため、今後、この作業を早急に進め、まとまり次第、研究発表を行う。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度には、【資料整理】と【基礎研究】に関する研究成果を早急にまとめ、研究発表を行うとともに、予定通り、【事例研究】を行う。その際には、昭和初期に行われた「国立公園に建つ山小屋」と「国立公園に建つホテル」の設計競技を主な分析の対象とする。また、必要に応じて、これらの設計競技の審査員によって設計された山岳建築(日本アルプス内のものを対象)についても実地調査を行い、分析の対象とする。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究発表(雑誌論文・学会発表)を予定していたものの、研究成果のまとめに至らなかったため、次年度使用額が生じた。 平成26年度には、まず、平成25年度の研究成果をまとめ、積極的に研究発表(雑誌論文・学会発表)を行う。次年度使用額はこれにあてる。また、平成26年度の経費については、研究実施計画に即して、予定通りに使用する。
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