研究課題/領域番号 |
25820310
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
岩本 馨 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 講師 (00432419)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 巡礼 / 札所 / 伊勢神宮 / 観音曼荼羅 |
研究概要 |
今年度は以下の四つのテーマについて研究を実施した。 第一は伊勢神宮の巡礼空間に関する研究である。ここでは、近世の神宮境内に簇生していた末社遥拝所という存在に着目し、その成立経緯および空間的実態について、文字史料および絵画史料(伊勢参詣曼荼羅および神宮文庫所蔵の境内図)を用いて具体的に明らかにし、さらに門前町との関係についての考察も行った。成果については論考「神宮末社遥拝所と伊勢」にまとめ、『仏教美術論集』(竹林舎)の一章として発表予定である。 第二は中近世の都市巡礼空間に関する研究である。ここでは京都および江戸において成立した、都市域を廻るような巡礼に着目し、その成立過程と空間構成過程について、文字史料および絵画史料(巡礼案内図など)を用いて明らかにした。成果については論考「近世の都市巡礼」にまとめ、『日本風景史』(昭和堂)の一章として発表予定である。 第三は中世の観音曼荼羅に関する研究である。ここでは滋賀県観音正寺に所蔵される三十三所観音曼荼羅を検討対象とし、従来不明とされてきた読解について合理的な見解を示すことに成功した。これによって中世西国三十三所にこれまで知られていなかった順路が存在したことを示し、その成立史に新たな知見を加えることに成功したと言える。成果については論考「いくつもの巡礼道」にまとめ、『中世の地形と移動(仮題)』(東京大学出版会)の一章として発表予定である。 第四は近代移行期の巡礼に関する研究である。ここでは秩父巡礼を対象とし、廃仏毀釈の流れの中で札所がどのように生き残ってきたかを論じた。成果については論考「都市における文化の危機」にまとめ、日本建築学会若手奨励特別研究委員会報告書に発表予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
計画は順調に進み、研究計画に挙げた対象以外にも成果を挙げることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
平成26年度以降は、前年度の成果の刊行にむけての作業を行うとともに、新たな事例についても研究を拡げていきたいと考えている。
|
次年度の研究費の使用計画 |
現地調査のためのまとまった時間がとれず、旅費使用額が当初の想定よりも少なかったため。 今年度は夏期休業期間などを利用して現地調査も精力的に行いたい。
|