ファシズム期のイタリアで設立された全国ドーポラヴォーロ事業団は、当時の国民に余暇の機会を組織的に提供した機関である。この余暇の実施のために同事業団は専用施設「カーサ・デル・ドーポラヴォーロ」を建設しており、本研究ではピエモンテ、ロンバルディア、エミリア=ロマーニャ地方の県都におかれた「県ドーポラヴォーロ」について網羅的な調査を実施、この3地方における同事業団専用施設の設置状況およびその現存状況を明らかにするとともに、その建築的特徴を指摘した。この成果から、ヴェルチェッリの事例はイタリア全土において最も規模が大きく特徴に富んだ専用施設として、これまで以上の重要性が指摘されるものである。
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