本研究は、近世大工道具および加工痕跡の調査から、部材加工技術の変遷についてあきらかにすることを目的とする。大工道具の研究対象は実物資料(伝世品・出土遺物)、文献資料、絵画資料からなるが、本研究ではこのうち近世の伝製品の一括資料を中心に調査をおこなった。近世大工道具一括資料5例のうち詳細な報告がなされていない2例について実測調査を実施した。大工が使用する道具一式を一群として把握し、その種類ごとの点数を「編成」とする観点から、大工道具を分類した。近世中期から末期にかけて、大工道具の編成は増加の傾向にあることが確認された。
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