本研究では,第一原理計算に立脚して合金の界面,特に異種構造間の界面を含む系の熱力学的安定性を高精度に予測可能な理論計算手法の開発と応用を目指した.まず界面を含む系の内部エネルギーを,格子定数の違いに起因した長距離の歪の効果を精確に考慮できる一般化イジングハミルトニアンを開発し,相互作用のフーリエ変換が逆格子空間のガンマ点で真性特異点を持つ問題点の克服に成功した.また,界面やバルクを含む非常に多数の微視的状態で本質的に記述される平衡状態の巨視的な物理量とその温度依存性を、構成元素や温度に依存しない特殊な微視的状態のみで記述できる新しい理論を開発し,現実の系への応用を通してその有用性を確認した.
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