金属ナノ粒子が凝集した表層では,金属ナノ粒子単体での共鳴や微粒子間における電場の相互作用や散乱など複雑な光学現象の組み合わせによって,もとの金属材料とは異なるユニークな色を発する.最終年度は,光学的な誘電関数のパラメータと電気的特性の比較および凝集形態による光学特性の差異について検討した. 凝集形態に関する実験では,金属ナノ粒子の光学特性を利用し凝集状態の制御の可能性を見出した.本手法において,直径10-30nmの銀ナノ粒子(媒質:純水)では,凝集の成長によって初期状態での吸光係数のピーク(波長405nm)の減少と波長550nm付近での吸収の増加を示した.吸収と同時に測定した散乱光については,波長470nmで最大であった散乱強度が凝集の成長にともなって,強度を増しながら長波長側に強度ピークがシフトした.初期状態の分散液の吸光係数1~3の範囲において本手法の有効性を確認しており,特許出願の準備と学協会での口頭発表および論文投稿による成果普及の準備を進めている.
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