研究実績の概要 |
本研究は大容量固体キャパシタの基盤材料に向けてリチウムイオン伝導体と誘電体のナノコンポジット材料を作製し,コンポジット界面において発現する分極により巨大誘電率を実現させることを目的としている.前年度検討において,Liイオン伝導体のナノ粒子[チタン酸リチウムランタン, (Li, La)TiO3, LLTO]に,液相反応により絶縁性の高い誘電体ナノ粒子(チタン酸ストロンチウム, SrTiO3)をシェル(外殻)として被覆した構造を持つ3次元コンポジットセラミックスを作製・評価を行ったが,巨大誘電分極を確認することができなかった.巨大誘電分極が得られなかった要因として,液相反応によるST粒子のLLTO上への被覆において十分高い被覆率が得られていないことが考えられたため,平成26年度はLLTOとSrTiO3を液相反応により2次元的に積層膜化させることで,再度巨大誘電分極の発現を試みた.積層薄膜の作製は3次元セラミックスの作製と同様,ゾルゲル法により行った.LLTOおよびSrTiO3のゾル溶液は汎用の手法により調整した.下部基板としてSrTiO3単結晶(100)を使用し,スピンコート法により製膜した.誘電率特性評価は平面電極を用いて行った.結果として,今回得られたLLTO―SrTiO3積層膜においても期待した巨大分極を観測することができなかった. また,本研究においては用いるLiイオン伝導体の導電率はより高い方が望ましいと考えられるため,上記検討と同時並行的に,より高イオン導電率を持つLiイオン伝導体の開発を行った.LLTOを出発としてLi+とLa3+の間のイオン半径をもつNd2+と,イオン半径が大きいBa2+をそれぞれAサイトに置換することで,効果的にLiイオン導電率を改善することができた.
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