研究課題
本年度の最大の成果は,鉛フリーを成分に含むことなく,光弾性定数(Photoelastic constant: PEC)がきわめて小さいガラス組成を実験的に見出したことである。図1に光弾性定数の組成依存性を示す。xZnO-(67-x)SnO-(33-y)P2O5-yB2O3(mol%)4元系組成でx=18.5-22,y=3,10で光弾性定数が-0.03~+0.05(x10-12 Pa-1)のガラスを見い出したことである(最小の光弾性定数は-0.002(x10-12 Pa-1)。光弾性定数(PEC),耐水性,ガラス転移温度(Tg),結晶化開始温度(Tx),屈折率(n),密度,線膨張係数(a),光学的吸収端,透過率(1550nm,センシング波長)を提示し,これらのデータより,光ファイバコアに組成1(x=19.0,y=3),クラッドに組成2(x=20,y=3)を用いることが最も適当と判断した。また,2.45GHx帯マイクロ波を用いた溶融法を施行した結果,ガラス化は可能であり,短時間溶融ができるためガラスへの不純物混入は低減できるものの,ガラス転移温度,密度等の物性値は通常の溶融急冷法と異なるため,今後の検討を要することが分かった。決定されたコア・クラッド組成に基づいて光ファイバの試作を行った。軟化中にガラス(コア・クラッド一体化ガラス)が結晶化することなく,またコアとクラッドの界面の接合も維持されたままでファイバ線引きが可能であることを確認した。透過損失評価を行った結果,現段階での損失は非常に大きく,これを改善するためのシンブルモード伝搬用光ファイバを現在作成中で,同成果は企業との共同研究に発展している。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 3件、 査読あり 5件、 謝辞記載あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
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