研究課題/領域番号 |
25820338
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
中島 智彦 独立行政法人産業技術総合研究所, 先進製造プロセス研究部門, 主任研究員 (50435749)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 配向制御法 / ペロブスカイト型酸化物シード層 / 光MOD法 / レーザープロセッシング |
研究実績の概要 |
平成26年度は(1)ペロブスカイト型シード層の高機能化、(2)光MOD法を用いた多様な配向シード層の開発、(3)配向制御光触媒アノード材料の開発の各小課題について以下の研究成果を得た。 (1)ペロブスカイト型シード層の高度化のため製膜条件の最適化及び必要パラメータを精密に検討し、有機基材への展開を試みた。有機基材上では基板加熱の制限により現時点において新たにレーザーフルエンスの制御が課題となっているが、フレキシブル基材上において配向成長可能な製膜条件が存在することを見出した。現在、最適化を試みている。 (2)ペロブスカイト型(001)面配向以外の配向成長法の確立を目指し研究を行った結果、ペロブスカイト型配向膜上において酸化タングステン薄膜を熱成長させることによって、ヘキサゴナルアルカリタングステン薄膜のm面配向成長が起こることを明らかにした。製膜条件を最適化した結果、配向度は94.1%と非常に高い水準に達し、ガラス基材上へ新たな結晶構造を持つ配向膜の作製に成功した。 (3)上記、アルカリタングステン酸化物薄膜の配向成長に成功した結果、ペロブスカイト/アルカリタングステン酸化物の配向ヘテロ界面の形成に成功した。ガラス基板上に作製した本配向ヘテロ構造を光電極として用いた結果、水分解反応が無配向ヘテロ構造の9.4倍、単層膜の71.7倍の光電流が得られることを見出し、配向ヘテロ構造が光励起された電子の高い輸送能と再結合抑制に起因すると考えられる光電極特性向上に大きな役割を果たしていることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各々、小項目に関して、目標を大幅に上回る成果が得られている部分、未達の部分があるが平均的に順調な成果が得られている。未達の点に関しては挑戦的な内容であるため引き続きトライアルを増やして対応していく。
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今後の研究の推進方策 |
基本的には当初計画に沿って遂行する予定である。小項目(1)中の粒子サイズ増大に関して、トライアルを増やす必要があるが、その中でフレキシブル配向膜への可能性等が明らかになってきたため、研究課題名である”オンデマンド製膜”という枠組みの中で新規項目についても検討を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
材料費を安価に抑え、参加した国際会議が国内で開催されたため外国旅費相当分が抑制された。
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次年度使用額の使用計画 |
繰り越し分については研究加速のための材料費に充当する。
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