研究課題/領域番号 |
25820339
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
小林 健 独立行政法人産業技術総合研究所, 集積マイクロシステム研究センター, 主任研究員 (20415681)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | チタン酸ジルコン酸鉛 / 圧電MEMS / ゾルゲル法 |
研究概要 |
(1)wakeup様々な組成のPZT薄膜の微細構造解析による現象の解明と、(2)電圧・波形などwakeup条件の最適化を行った。 (1)ゾルゲル法により(100)/(001)配向したテトラ組成、MPB組成PZT薄膜(膜厚2um弱)をシリコンウエハ、SOIウエハ上に形成し、MEMS技術によって圧電MEMSマイクロカンチレバーを作製し、1kHzの交流三角波でwakeupを行った。X線回折によるテトラ組成、MPB組成とも一定電圧以上のwakeupによってc軸配向性が30%から45%程度にまで急増することが明らかになった。SEMによる微細構造観察の結果、c軸配向性が急増する条件のwakeupで膜内にクラックが入ることが明らかになった。テトラ組成ではwakeupによりDCポーリングを上回る圧電定数が得られたが、MPB組成ではDCポーリングの場合の半分程度になってしまうという問題が見いだされた。 (2)そこで、MPB組成でも圧電定数が向上するようなwakeup条件を見出すべく、印可する電圧・波形の最適化を行った。その結果従来のように交流ではなく、正あるいは負の片側だけに電圧を印可するユニポーラ条件とすることで、MPB組成でも圧電特性が向上することが明らかになった。従来のDCポーリングの数分オーダーに対して、処理時間はわずか1秒以下でありながら、100V、1kHzのユニポーラ三角波を印可することでMPB組成PZT薄膜の圧電定数-d31は100pm/VとDCポーリングの場合を上回るという、性能向上と生産性向上を同時に満たす条件が見いだされた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度に予定していた(1)wakeup様々な組成のPZT薄膜の微細構造解析による現象の解明と、(2)電圧・波形などwakeup条件の最適化をほぼ完了した。25年度には評価用チップの設計も予定していたが、(2)において条件の最適化に注力した。その結果、DCポーリングの場合を上回る圧電定数の向上と、時間の大幅な短縮化という予想を上回る成果が得られたため、評価用チップの設計ができなかった分と差っ引いて、おおむね順調に進展と自己採点した。
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今後の研究の推進方策 |
申請書に記載のとおり、wakeupの作製プロセスへの導入と、特性の面内均一性、信頼性への影響評価を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
計画中26年度に行うwakeupの作製プロセスへの導入、およびwakeupの面内均一性、及びデバイスの信頼性への影響評価の下準備として、作製プロセスを複数回行うために25年度に予算を確保していたが、wakeup条件の最適化についての研究が予想以上の成果が得られ、25年度はそこに注力したため、当該費用は次年度に回ることとなった。 wakeupの作製プロセスへの導入、およびwakeupの面内均一性、及びデバイスの信頼性への影響評価のために作製プロセスを複数回行う。
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