3年計画の2年目にあたる本年度は、研究計画書に基づき、ポリイミド/Zr2WP2O12複合膜を作製し、その特性を、熱膨張率、分光学的手法、AFMによる微小空間観察により評価した。様々な表面処理を施したZr2WP2O12とポリイミドの界面状態をAFMで評価したところ、全てのサンプルで違いが見られなかった。これは、Zr2WP2O12を用いると、表面状態にかかわらず高度に作製できるためと考えられる。また、ポリイミドに混合するZr2WP2O12の添加量を変化させて、Zr2WP2O12の添加量が複合膜の熱膨張率に与える影響を調査した。その結果、添加量の増加に伴い連続的に熱膨張率を低減させることに成功した。作製した複合膜の膜厚と平均算術粗さのZr2WP2O12添加量依存性を調査した。その結果、膜厚はペーストの粘性を温度や溶媒の添加量を高度に制御することで、3-50マイクロメールの範囲で、任意の膜厚を得ることに成功した。一方、表面粗さは無添加に比べて表面粗さが増加したものの、電子部品し使用できる程度の低い表面粗さだったとわかった。 上記のように、またZr2WP2O12は、ZrW2O8と比較して、極めて効果的に熱膨張率を制御できることが明らかになった。一方、その理由を解明するには至ってないことから、今後、「なぜ、Zr2WP2O12がZrW2O8より効果的に熱膨張率を制御できる材料なのか?」について、詳細な検討を行う予定である。
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