研究課題/領域番号 |
25820342
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
磯部 敏宏 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (20518287)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 負の熱膨張 / 複合体 / 有限要素法 |
研究実績の概要 |
負の熱膨張率を有するセラミックス「Zr2WP2O12」とポリイミドを複合化することで、熱膨張率が約18 ppm/Kの電子機器用の絶縁フィルムを作製する。また、作製のプロセスを界面化学の観点から精査し、低添加量でも効果的にZr2WP2O12が機能する有機/無機界面や膜の微構造を設計し、フィラーの効果的に性能を発揮するための界面の設計指針を提案する。本年度は、昨年度までに作製したポリイミド/Zr2WP2O12複合膜の熱膨張率の評価に取り組んだ。その結果、添加量が増加するとともに熱膨張率が低下した。また、熱膨張率のポリマー/セラミックスの界面の結合状態と熱膨張率の関係の調査に取り組んだ。セラミックスの表面をシランカップリング剤で改質することで、界面の密着性が向上できた。また、この構造を、有限要素法でモデル化し、界面の密着性と熱膨張率の関係を考察した。その結果、複合膜の熱膨張率は、単に、ポリマーの体積膨張とセラミックスの体積収縮による相殺だけではなく、界面設計が重要と実験的、計算科学的双方から確認することが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
昨年度までに作製したポリイミド/Zr2WP2O12複合膜の特性を評価した。また、有限要素法で材料内部の応力を解析した。その結果、複合材の熱膨張率は複合則だけでなく、ポリマー/セラミックスの界面の結合状態にも影響されると結論付けることに成功した。 また、上記の知見を基に、新たな負熱膨張材料Zr2WP2O12を見出し、部材化に成功するとともに、熱的・機械的性質を明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、計画通りに進んだと考えている。平成28年度は、学会や論文発表を通じて、成果の発信を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
日本セラミックス協会が主催する2016年年会で発表を予定していたが、第81回化学工学会年会と日程の一部が重複し、参加が困難になった。
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次年度使用額の使用計画 |
代替として、日本セラミックス協会2017年年会への参加を予定している。
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