負の熱膨張率を有するセラミックス「Zr2WP2O12」とポリイミドを複合化することで、熱膨張率が約18 ppm/Kの電子機器用の絶縁フィルムを作製する。また、作製のプロセスを界面化学の観点から精査し、低添加量でも効果的にZr2WP2O12が機能する有機/無機界面や膜の微構造を設計し、フィラーの効果的に性能を発揮するための界面の設計指針を提案する。本年度は、昨年度までに得られた研究成果を論文発表や国内会議等を通じて発信した。具体的には、Zr2WP2O12から着想した新規の負の熱膨張率を有するセラミックス「Zr2MoP2O12」を固相反応法で合成し、高温X線回折法で結晶の熱膨張率の算出したことと、得られたセラミックス粉末に最適な焼結助剤と焼結温度を選定し、バルクセラミックスの作製し、その機械的性質と熱的性質を測定したことを纏め、"Preparation and properties of Zr2MoP2O12 ceramics with negative thermal expansion "としてMaterials and Design (DOI: 10.1016/j.matdes.2016.09.048)に報告した。また、日本セラミックス協会が発行する雑誌セラミックスに解説記事として報告した。その他、固相法と水熱法の2つの方法でZr2WP2O12粒子を合成し、作製方法の違いが得られた粒子のサイズや光学的性質に与える影響についてまとめ、日本セラミックス協会2017年会で報告した。
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