研究課題/領域番号 |
25820352
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
盛田 元彰 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 助教 (30636626)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 変形双晶 / 延性 / 強度 / 不純物元素 |
研究概要 |
0.05wt%、0.1wt%、0.3wt%の酸素を固溶させたチタンの圧延材と、0.4wt%の酸素を固溶させた鍛伸材を引張試験し、強度と延性に及ぼす酸素固溶量の影響を評価した。また、それぞれの酸素固溶量で変形組織を観察し、変形組織と機械的特性の関係性を解析した。特に、強度と延性に及ぼす変形双晶の発生の影響について評価した。 0.05wt%と0.1wt%の酸素固溶チタン材の応力ひずみ曲線を比較した時、伸びにほとんど差がなかったが、強度は約30%上昇した。引張試験後の組織は、変形双晶が多く観察され、両酸素固溶量で変形双晶の発生頻度はほぼ同程度であった。その発生頻度は平行部で面積率約70%観察されたのに対し、くびれ部では90%であった。0.3wt%以上酸素が固溶したチタン材では、急激にその変形双晶の発生頻度が低下し、伸びも低下した。0.05wt%酸素固溶チタン材と比較して0.3wt%酸素固溶チタン材の強度は約2倍以上増加したが、0.3wt%と0.4wt%酸素固溶チタン材の間に大きな強度の差は見られなかった。0.05wt%と0.1wt%の酸素固溶チタン材において、酸素は強化元素としてのみ働き延性に影響を及ぼさなかった。0.3wt%と0.4wt%の酸素固溶チタン材において、酸素は延性低下の要因となった。また、0.4wt%酸素固溶チタン材においては、酸素の固溶強化の効果も小さくなった。 変形双晶の発生頻度が高いほど均一伸びが増した。また、結晶粒径が小さい時、双晶の発生頻度が大きくなり均一伸びが増した。 0.05wt%と0.1wt%酸素固溶チタン材において、伸びの異方性は顕著であったが、強度の異方性は小さかった。0.3wt%酸素固溶チタン材は、伸びと強度の双方に異方性が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高純度酸素固溶チタンの創製とその組織観察を実施した。 脆化に及ぼす析出物や元素の偏析の影響を見た。高温域で圧延した材料で、水素の侵入が観察された。 高酸素固溶チタン中の酸素添加量と、集合組織および変形特性の異方性を評価した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究成果をふまえ、下記を(1)~(4)を実施する。 (1)高温域で創製した圧延材を脱水素処理し、その集合組織を評価する。そして、低温域で圧延したチタン材と同程度の組成を有する高温圧延した試験片を作製し、圧延温度域が及ぼす引張特性の影響の理解を深める。 (2)0.4wt%以上の酸素を固溶させたチタン材を作製し、その変形組織について調査する。 (3)結晶方位に由来した結晶粒毎の塑性変形の追跡を実施する。 (4)酸素が及ぼすチタンの組織および機械的特性への影響の明確にする。
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次年度の研究費の使用計画 |
金額が5円と少額であり、研究のための使用が不可能であったため。 平成26年度4月からの消費税増額分として使用する。
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