平成25年度に得られた結果を元に、高酸素固溶させたチタン材の作成条件と固溶量を決定した。試料は一方向圧延で熱間圧延した。同一の圧延条件の酸素固溶量による差を明らかにするために、Ti-0.05wt%O材、Ti-0.2wt%O材、Ti-0.4wt%O材、Ti-0.7wt%O材を作製した。圧延後熱処理し、結晶粒径の制御およびその圧延再結晶集合組織を評価した。板材の圧延方向に対し3方向から採取した試験片を引張試験後、変形組織を解析した。変形機構と機械的特性に及ぼすチタン中での固溶酸素量の影響について調査した。 固溶酸素量0.05wt%~0.7wt%の範囲において、固溶酸素量増加にともない強度は増加、延性は低下した。低酸素固溶領域のチタン材では伸びは急激に低下するが、それ以降伸びの低下はほとんど見られなくなった。また、試料採取方向によっては、Ti-0.4wt%O材よりもTi-0.7wt%O材の方が大きな伸びを示した。固溶酸素量0.2%以下のチタン合金Ti-0.05wt%O材及びTi-0.2wt%O材では、双晶変形が主な変形機構であった。一方で、固溶酸素量0.4%以上のチタン合金Ti-0.4wt%O材及びTi-0.7wt%O材では、すべり変形が主な変形機構であった。特に、Ti-0.7wt%O材については、詳細な解析においても変形双晶を検出できなかった。酸素量が増加するに伴い、集合組織は(0002)が圧延面となる傾向が強くなった。高い酸素濃度においても高い延性を示したのは、集合組織がよりすべり変形し易い配向だったためである。以上の結果より従来よりも酸素固溶量が大きいチタン材を使用できる可能性を示せた。
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