現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
[概要]に示した通り,研究計画では初年度に孤立電解質分子を扱う予定だったが,計画を前倒しして,電解質分子10個を含むLiCoO2-電解液界面を構築し,さらに第一原理分子動力学シミュレーションを実行した.その結果,(1) 計画時には想定していなかった充放電前の液浸時にすでに電極界面での化学反応が起きていること, (2) その化学反応時のスペクトル変化のシミュレーションを実施し,現在定説とされている「表面Coの還元反応」ではなく「Coの価数変化を伴わないEC分子との反応に伴う局所構造変化」が起源である可能性が高いこと, を示唆する結果を得た.特に(2)については, 実験結果についてのこれまでの解釈を大きく変える可能性があり,波及効果は大きいと予想される.
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今後の研究の推進方策 |
当初計画では電圧印加時のみに着目していたが,平成25年度の結果から,充放電前の液浸時にすでに電極界面での化学反応が起きていること, 平成26年度の結果から,現在定説とされている「表面Coの還元反応」ではなく「Coの価数変化を伴わないEC分子との反応に伴う局所構造変化」である可能性が高いことを示唆する結果を得た.これらは実験結果についてのこれまでの解釈を大きく変える可能性があり,極めて重要な問題と思われる.従って, 平成27年度はLiCoO2正極界面のみに注力し,本年度提案したモデルの妥当性をより詳細に検討した上で, 充放電時の電圧印加時の化学反応ダイナミクスを明らかにする.
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