近年、マグネシウム合金は生体内分解性を有することから、骨固定用プレート・スクリューなどへの応用が期待されている。しかしながら、これらへと適用した場合には、マグネシウムは腐食環境である生体内にて、日常生活での運動や咀嚼により繰り返し荷重を受ける。そこで、本研究ではマグネシウム合金のin vitro疲労特性評価システムを構築するとともに、in vitro疲労破壊特性の評価を実施した。
まず、既設の疲労試験機に対して、擬似体液の循環システムを追加し、生体内の環境を模擬した状態での疲労特性評価を可能とするシステムを構築した。 得られたシステムを利用し、擬似体液内の疲労特性および大気中での疲労特性を比較し、擬似体液への浸漬により疲労寿命が低下することを明らかにした。また、両試験中での、疲労き裂進展過程を観察した結果、擬似体液の存在はき裂進展過程には影響を及ぼさないことを明らかにした。そこで、生体内での疲労特性の改善を目指し、微細な結晶粒を有するマグネシウム合金についても、in vitro疲労特性評価を実施した。この結果から、結晶粒微細化により、in vitro疲労特性も改善することが明らかとなった。
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