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本研究の目的はMgへScを15at.%以上添加することで得られるBCC相、またその規則度を上げたB2を利用した高延性化・高強度化であった。そこで、HCP単相やBCC単相、HCP＋BCC二相組織を呈するMg-Sc合金を高周波溶解炉にて作製し、機械特性、特にビッカース硬さに関して系統的に調査した。
Sc濃度の異なるMg-Sc合金を作製し、HCP単相(秤量15at.%Sc)、BCC単相(秤量20at.%Sc)のビッカース硬さを計測したところ、それぞれ115Hv、90Hvであった。また、熱処理によりBCC単相化して急冷した試料(16.8at.%Sc；EPMAで測定)を様々な温度にて時効熱処理を行った。その結果、BCC相中にHCP相がBurger'sの関係で析出することが分かり、HCP相を微細に析出させるほど、HCP相の体積率が多いほど硬化することが分かった。200℃で25時間時効することで、その硬さは231.5Hvにも達した。この硬さは金属ガラスを除いては、Mg基で最も高い値であった。この時、HCP相はBCC相中に数十nm程度の大きさで、堆積率は90％ほどであった。この硬化挙動は、MgへのScの固溶強化による効果と、組織の微細化（Hall-Petchの関係）による効果で説明することが出来た。
本研究の目的の一つであった高強度化に関しては十分に達成できた。延性の調査に関して、BCC相で観察された特異な変形双晶に関しては引き続き2015年度から得た科研費若手（A)にて行う予定である。
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