研究概要 |
銅粉末は粒径5μmの水アトマイズ粉末で球形状のもの,CNTは直径20-50nm,長さ1μm程度のものを用いた.CNTはIPA基分散溶液中に単分散しており,既往研究によるコーティングおよび真空熱処理により,CNTを粉末表面に単分散被覆できることを確認した.0.14 wt%CNT付着Cu粉末を利用した際,固化成形体の電気伝導率は80 IACS%を示した.強度に関しては,純銅粉末押出材は耐力値:73MPa, 最大応力:240MPa,伸び:47%であるのに対し,CNT分散材料は耐力値:270MPa, 最大応力:296MPa,伸び:20%と高強度を示した.結晶粒径はCNT分散材料で2-5μmで,純銅粉末押出材の10分の1程度の微細化を示した.TEMなどによる解析による界面挙動解析では化合物などの形成は確認されなかった. 純Al粉末を用いた場合も同様にコーティングプロセスでCNT単分散複合粉末を作製した.純Al粉末には,3μmの粉末を用いることで,複合材中に均一分散することを確認した.複合材の強度は,耐力値:158MPa, 最大応力:187MPa,伸び:19%となり,純Al粉末押出材の強度に対し約20%の向上が確認された.固化成形条件において,熱処理の温度を変化させることで,CNTと母相Alの界面では炭化物の形成が確認され,強度が炭化物を介して担保されていると考えられる結果となった.電気伝導率は,48~50IACS%となる.材料中の酸素量が電気伝導率に寄与していると考えられる.
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