研究課題/領域番号 |
25820377
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
本間 智之 長岡技術科学大学, 工学部, 准教授 (50452082)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | マグネシウム合金 / 結晶核 / 結晶粒微細化 / 透過型電子顕微鏡 |
研究概要 |
自動車のインストルメンタルパネルへの応用を目的に(1)Mg-6Al-0.3Mn(mass%)合金に対しカーボンイノキュレーション(CI)法と双ロール連続鋳造(TRC)法を組み合わせ、最終圧延によりMg合金薄板の結晶粒を5μm以下に微細化する。(2)TRCにより化合物分散効果を高めて成形能を飛躍的に向上させる。(3)集束イオンビーム(FIB)により、結晶核を直接切り出し、透過型電子顕微鏡で結晶粒と結晶核の相互作用を明らかにし、CIによる結晶粒微細化機構を学術的に体系化する。(4)これを利用して板厚0.5mm、250℃で限界絞り比3以上、限界張出し高さ15mm以上を満たす優れた深絞り成形性や張出し成形性を発現させることを目的として実験を進めている。平成25年度は(1)~(4)の実験を遂行した。 CIにより導入された結晶核は、結晶のほぼ中心位置に存在し結晶粒を微細化する。結晶核の検出は通常の2次電子像による観察では困難なことが多く、反射電子を用いて観察することができた。また、結晶核をFIBにより切り出すことにも成功し、局所領域の透過型電子顕微鏡観察を可能とした。電子エネルギー損失分光法による組成分析、高角度散乱暗視野法による結晶核の直接観察、EBSDによる結晶核と結晶の位置関係の解析などを進めており、具体的なメカニズムが明らかになりつつある。平成26年度は、分析電子顕微鏡を駆使して結晶核の本質に迫り、結晶粒が極めて微細な相ロール連続鋳造板材の創製を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書で予定していた実験手法を確立することができ、データも着実に出ている状況である。ナノスケールの材料組織の解析が必要であることから、結晶方位をそろえて系統的な解析を行えるよう、今後さらなる工夫が必要となる。
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今後の研究の推進方策 |
Edge-toedgeマッチングモデルを意識した結晶方位解析や結晶核のナノスケールの濃度解析など、不完全な解析技術を高め、質の高い、信頼性の高いデータの収集が必要となる。FIBを用いて目的の結晶方位にそろえることで学術的にもインパクトの高い研究成果が出せるものと期待できる。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度に予定していた研究費に残額が生じ、次年度に有効活用するため次年度使用額とした。 7000円程度の金額であるため、FIBや透過型電子顕微鏡の消耗品費として使用を計画している。
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