研究実績の概要 |
濡れ、エマルジョン、マランゴニ対流など物質間の界面で起こる界面現象は、金属精錬プロセス、素材製造などの高温プロセスにおいて重要視されていることは周知の事実であり、このようなことから界面現象の理解のために界面現象を支配する因子の一つである界面張力の測定が数多くなされている。本研究は、発案した液相中に浮遊する液滴の輪郭形状から液-液間の界面張力を測定する方法を液体金属-溶融塩間の高温系の界面張力の測定に展開することを目的としている。昨年度は、(1)Poggiらが定義した浮遊係数を基に、浮遊する液滴金属、溶融塩を探索した。また、(2)Pb液滴が溶融LiCl-NaCl-KCl系あるいは溶融Li2CO3, Na2CO3, K2CO3系において浮遊することを実験的に確認した。本年度は、同浮遊液滴の輪郭から金属-溶融塩間の界面張力の導出を試みた。パイレックスガラスセル中で混合溶融塩表面上に浮遊する金属液滴の輪郭形状を光学系撮影システムで撮影し、Laplaceの式を利用して、界面張力を測定した。(1)Pb/LiCl-NaCl-KCl系において、673, 723, 773 Kで界面張力を算出し、界面張力の温度依存性として458.8 - 1.27 T (mN/m)を得た。(2)Pb/Li2CO3-Na2CO3-K2CO3系において、723, 773 Kで界面張力 312.7, 310.1 mN/mを得た。以上の結果より、発案した液相中に浮遊する液滴の輪郭形状から液-液間の界面張力を測定する方法が高温系融体においても適用できることが明確となった。
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