研究課題/領域番号 |
25820392
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研究機関 | 北陸先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
西村 俊 北陸先端科学技術大学院大学, マテリアルサイエンス研究科, 助教 (20610067)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 金属担持触媒 / 金属触媒反応 / 保護配位子 |
研究実績の概要 |
まず前年度の検討段階で明らかとなってきた金属ナノ粒子担持触媒に及ぼす共存高分子保護剤の機能性に着目し、水中でのポリオールの酸化反応活性について、でんぷん(starch)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)をそれぞれ作用させた白金ナノ粒子担持触媒の反応性と電子状態および親和性の関連を追及した。その結果、保護配位子剤は、中心金属の電子状態だけでなく、反応溶媒との親和性にも大きく作用し、金属担持触媒の触媒作用を制御できることが明らかとなった。 担体自身の性質を活かしたパラジウム-担体複合化触媒として、多孔性配位高分子(MOF)を新たに合成し、パラジウムが単核で存在できる高活性触媒の開発に成功した。本触媒は、空気中での鈴木ー宮浦カップリング反応に、歴代最大活性を達成した。 異種金属である銅との複合化によるバイメタル銅パラジウム触媒に関する検討では、ベンジルアルコールの酸化反応における活性評価の結果、銅を40%複合化したCu40Pd60バイメタル触媒が100%Pd触媒と同程度の触媒活性を発現することがわかった。 この他、臭化セチルトリメチルアンモニウムを作用させた銅酸化物ナノ粒子担持触媒(CuO-CTAB/MgO)、PVPを作用させたルテニウムナノ粒子担持触媒(Ru-PVP/HAP)等を調製し、バイオマス変換反応に対する触媒性能を系統的に評価した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の予定では、異種金属種との複合化でのみモノメタルナノ粒子触媒の高機能化が達成されるものと予想していたが、共存する高分子や有機物からなる配位保護剤の選択によるナノ粒子の触媒作用の制御やナノ粒子の形成メカニズムの制御が可能であることが明らかになりつつある。また、新規担体を開発することでもモノメタル触媒の秀でた触媒作用を発現し、新規触媒担体の開拓による高活性化も実現している。 バイメタル触媒およびトリメタル触媒を用いた複合化ナノ粒子触媒の高機能化に関しても計画に沿って順調に進行しており、当初の計画以上に本提案研究が進展しているものと判断した。
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今後の研究の推進方策 |
バイメタル触媒を用いたバイオマス変換反応として、バイオマス資源由来ジオールの高選択的反応系やバイオマス由来資源から生成されたギ酸を水素源とした水素化反応系の確立など、次世代資源として期待されるバイオマス資源の有効利用を指向した高難度変換反応へと展開してゆきたい。 最終年度では普遍的な知見として、これまでの2年間での研究成果を基に体系的な複合金属ナノ粒子触媒の高活性化に対する知見を取りまとめたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2015年度に民間の助成を得たため、主に物品費の軽減によりおよそ10万円の未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
複合金属ナノ粒子触媒の活性サイトが高価な貴金属であるため、試薬購入費用に充填する予定である。また、国際学会での発表費用としての使用も検討している。
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