研究実績の概要 |
金を中心としたバイメタルナノ粒子の系統的な評価を目的に、ポリビニルピロリドン(PVP)を保護配位子として調製したAuMバイメタルナノ粒子(Au/M = 60/40モル比、M;Ir、Pt、Pd、Cu、Ag)を、層状粘土鉱物塩基性ハイドロタルサイト(HT)上に固定化したAuM-PVP/HT触媒を調製し、1-フェニルエタノールの酸化反応活性を比較した。AuIr、AuPt、AuCu、AuAgのバイメタル触媒活性は、粒径分布や局所構造よりも“電荷移動作用”と緩やかな関連が認められた。一方、AuPdバイメタル触媒は、電荷移動作用だけでは説明できないほどの高活性を発現し、電荷移動作用だけではなく幾何学構造の違いが高活性に寄与していることが予想された。 3種類の保護配位子N,N-ジメチルドデシルアミンN-オキシド(DDAO)、PVP、ポリビニルアルコール(PVA)を作用させて、AuPd-capping/HT触媒を調製し、1,6-ヘキサンジオール(HDO)の選択酸化反応による6-ヒドロキシカプロン酸(HCA)の選択合成を検討した。その結果、AuPd-DDAO/HT触媒がHCAへの高選択酸化反応に優れた触媒性能を発現できることが明らかとなった。DDAOを用いた場合、PVPやPVAの場合とは異なる幾何学構造・電荷移動作用が発現しており、バイメタルナノ粒子調製時に共存する保護剤の種類により、生成されるAuPdバイメタルナノ粒子触媒の幾何学・電荷特性が変化し、特異な触媒性能の発現に大きく寄与することが分かった。 その他、CoPd-DDAOバイメタルナノ粒子触媒による水素化反応、Ru-PVPナノ粒子触媒による還元的アミノ化反応についても、触媒調製法と触媒性能についても検討し、論文発表等により成果を報告できた。
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