研究課題/領域番号 |
25820393
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
大山 順也 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50611597)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 金クラスター / 金単原子 / サイズ効果 / 球面収差補正走査透過型電子顕微鏡 / バイオマス |
研究概要 |
本年度は、金属酸化物上で金(Au)クラスターおよびAu単原子触媒を設計・合成するための基礎的な知見を得ることを目的とし、金属酸化物上でのAu粒子のサイズを原子レベルで評価するための手法を開発した。さらに、本手法を用いたサイズ解析に基づき、Au触媒のサイズ効果を原子レベルで検討した。また、Auの触媒作用を検討する中で、新規なバイオマス変換反応を見出した。 Al2O3に担持したAuを、球面収差補正走査透過型電子顕微鏡(STEM)を用いて原子レベルで観察した。得られたSTEM像を、モフォロジー演算によって処理することで、観察されたすべてのAu種、つまり、Au単原子および原子配列が見えるAuクラスターを、すべて抽出し、その粒子サイズを評価することに成功した。これにより、従来法では評価できなかったサイズで粒子数分布を明らかにすることができた。本手法を用いてサイズを評価した種々のAu触媒を用いて、Auの触媒活性に対するサイズ効果を検討した結果、反応物によって原子サイズレベルで異なる粒子サイズ効果が現れることが判明した。 また、担持Auクラスター触媒を用いて、バイオマス由来の化合物である5-ヒドロキシメチルフルフラールから新規な有用化合物であるシクロペンタノン誘導体の合成に成功した。特に、酸化ニオブ上に担持したAuクラスター上でのアルデヒドの選択的な水素化と、酸化ニオブの酸触媒作用により、高収率でシクロヘキサノン誘導体を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的である担持Auクラスター、単原子を含む担持Au触媒を合成し、そのサイズを新規手法を用いて評価することに成功した。これにより、数ナノメートル以下のサイズで変化するAuクラスターの触媒作用を見出した。金属酸化物担体上でのAu粒子のサイズ制御の検討等が遅れているものの、Auクラスター触媒による新規バイオマス変換反応を見出し、当初の計画以上の結果も得られた。以上からおおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに見出した反応物によって異なるサイズ効果の起源を明らかにするとともに、異種金属酸化物の担体への導入等によるクラスターのサイズ制御、Au単原子触媒の合成を行い、その触媒作用を明らかにする。
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