本研究では、廃不凍液由来のエチレングリコールを原料として、高収率にグリコール酸(GA)を合成することを目指し、グリコールアルデヒド酸化酵素(GAO)の取得を試みてきた。GAOを産生する微生物を見出し、昨年度は精製酵素のN末端アミノ酸配列情報等をもとに、ゲノムDNAからGAO遺伝子クローニングを試みたが達成できなかった。 本年度は、GAO遺伝子のクローニングと並行して、研究室保有菌由来のアルデヒド酸化酵が、GAOと同じくグリコール酸を合成可能ではないかと考え、本酵素を用いた反応生成物の分析を行った。結果、GAO遺伝子クローニングは本年度も達成できなかった。研究室保有菌由来のアルデヒド酸化酵素については、原株由来の酵素を用いた際には、グリコール酸のみが合成可能であると示されたが、大腸菌で組換え発現させた酵素を用いた際には、目的のグリコール酸だけでなく副反応生成物の合成も確認されてしまった。そこで、既知の大腸菌由来ラクトアルデヒドレダクターゼ(FucO)と、ラクトアルデヒドデヒドロゲナーゼ(AldA)を用いることで、エチレングルコールからグリコール酸合成を試みようと考えた。結果、大腸菌の休止菌体反応を行うことで、約12 mMのグリコール酸の合成が確認できた。今後はFucOとAldAを大腸菌体内で過剰発現し、グリコール酸合成量の向上を目指す。
|