研究課題/領域番号 |
25820396
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
中島 一紀 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50540358)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | バイオマス分解 |
研究概要 |
非結晶セルロースの分解能が高いセルロース分解酵素(セルラーゼ)と、セルロース膨潤効果を持つ機能性タンパク質エクスパンシンを連結した種々の融合酵素を作製した。セルラーゼは数多くの多糖分解酵素の遺伝子をもつことが知られている好熱性嫌気性細菌Clostridium thermocellumから高い分解活性を示すエンドグルカナーゼCelDをクローニングした。エクスパンシンはBacillus subtilis由来のエクスパンシン(Exp)を用いた。クローニングした遺伝子を用いてExp、CelD単独、あるいは両者を直接つなぎ合せたExp-CelD、両者の間にフレキシブルなペプチドGSリンカー(GGGGS)を3つ、あるいは6つ挿入した融合酵素(それぞれExp-GS3-CelD、Exp-GS6-CelD)の発現ベクターをIn-Fusionを用いて挿入した。大腸菌BL21(DE3)株を作製した発現ベクターで形質転換し、種々の酵素・タンパク質を発現した。CelDはタンパク質全長での可溶性発現は困難であったため、N末端のシグナル配列とC末端のドッケリン部位を削除することで可溶性発現が可能となった。ExpとCelDの融合酵素はいずれも可溶性発現が可能であったが、タンパク質分子量の増大とともに発現量は減少した。 発現したタンパク質・酵素を用いてセルロースへの吸着実験を行った。セルラーゼ単独であるCelDはセルロースにほとんど吸着しなかったが、Expを連結した3つの融合酵素は非常に高い吸着性を示した。また、非結晶セルロースの分解実験を行ったところ、CelDに比べ、Exp-CelDは分解率が減少したものの、Exp-GS3-CelDとExp-GS6-CelDでは分解率が向上した。以上より、吸着および分解においてExp融合の効果が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
H25年度は融合酵素遺伝子の作製と発現を検討し、作製した融合酵素のセルロース分解性を調査することを当初の目的としていたが、研究が順調に進行し、当初の予定に加えて、融合酵素のセルロース吸着性および分解パターンの詳細解析についても検討を行った。
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今後の研究の推進方策 |
Expの融合効果についてはH25年度の研究において明らかになったが、そのメカニズムについては未だに不明である。したがって、Expの結晶破壊機能について、粉末X線回折(XRD)、走査型電子顕微鏡(SEM)等を用いて詳細に検討する。また、タンパク質工学的手法により、融合酵素のペプチドリンカー部位の種類(構造、フレキシビリティー)の影響を検討し、融合酵素のさらなる高機能化に取り組む。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該次年度使用額分は3月に執行済みであり、翌年度4月に支払い予定である 上に同じ
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