研究課題/領域番号 |
25820398
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
和田 直樹 金沢大学, 自然システム学系, 助教 (20464050)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | アルキルイノシン / 電荷移動型界面活性剤 / CHAPS / 呼吸鎖超複合体の抽出 |
研究概要 |
ミトコンドリアにおける呼吸鎖超複合体の形成は呼吸活性や酸化ストレスと関連していると考えられるが、複合体同士がどのように会合し、どのように機能して呼吸活性を制御しているのかは、まだ十分には明らかにされていない。本年度は、新しい概念の界面活性剤を用いて安定に超複合体を単離精製できる技術を開発することを目的として、膜埋め込み部のアミノ酸残基と特異的に相互作用すると思われる相互作用部を導入した電荷移動型の界面活性剤(アルキルイノシン)を合成し、既存の界面活性剤との組み合わせを検証した。条件検討の段階であるため、ミトコンドリアを大量に入手可能な条件として、酵母ミトコンドリアからの超複合体抽出条件を検討した。その結果、特定のアルキルイノシンでは、それ単独では抽出作用がみられなかった。これは、球状のミセルを形成しないことに由来すると思われる。種々の既存の非イオン性界面活性剤と組み合わせたところ、CHAPSと組み合わせた場合において、これまでにみられなかった高分子量の超複合体が抽出されることがBN-PAGEの結果より明らかにされた。これは新しい組み合わせの超複合体の抽出に成功したことを示唆しており、新規界面活性剤の有用性を示すものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の主目的は、新規界面活性剤を用いた抽出条件の確立であった。有望な界面活性剤は現在のところCHAPSのみが明らかにされた段階だが、アルキル鎖を変えることで最適な組み合わせも変わり、抽出効率や抽出される超複合体の分子量なども変わることが期待される。そのような意味で、十分に進展しているとの判断はできないが、概ね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
アルキル鎖の異なる電荷移動型界面活性剤を既存の界面活性剤と組み合わせて、抽出効率や抽出される超複合体の分子量がどのように変わるか明らかにする。それと同時に、新しい組み合わせの超複合体がどのような複合体からなるのか、活性染色、2D-PAGE、MALDI-TOF-MSなどを駆使して明らかにしていく。上記の検討の結果、電荷移動型界面活性剤を用いた呼吸鎖長複合体の抽出条件を確立したうえで、各種ストレス下で超複合体の形成がどのようにドラスティックに変化するのか検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
118円という極めて少額の物品として購入すべき(購入できる)ものがなかったため。 2年目は高額の物品購入予定や修理予定などはなく、申請書に基づき、各種消耗品等を購入予定である。
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