研究概要 |
本研究では、ドラックデリバリーシステムの全く新しい素材としてのDNAに着目し、その理由として研究計画書において、①リガンド(薬剤)との強い親和力(数nM程度の解離定数)、②元来体内に存在する分子であることに由来する生体適合性の高さ、③生体内での安定性を挙げた。報告者らは最近になり、4’位酸素原子を硫黄原子に置換した修飾型核酸である4’-チオDNAの合成に成功した。4’-チオDNAは、(a) 細胞内DNA分解酵素に対する抵抗性が天然型よりも高い、(b) 天然型DNAと比較して、免疫応答を誘起する可能性が少ない、(c) 条件を最適化することでPCRによる増幅が可能であるといった非常に興味深い性質が見られた(Kojima and Furukawa et al., ACS Synth. Biol., 2013, 2, 529)。当初本研究計画では、天然型DNAを用いた抗がん剤doxorubicin結合性アプタマーの獲得を目指したが、4’-チオDNAを用いることで免疫賦活化を防ぐことが可能であり、また生体内安定性も劇的に向上させることが可能であると考えた。そこで本研究では4’-チオDNAを基質としたSELEXを行い、doxorubicinに対する4’-チオDNAアプタマーの獲得を目指すこととした。本年度は、4’-チオDNAを用いたSELEXを行うための至適条件の探索を行った。
|