研究概要 |
本研究の目的は、組換えタンパク質の効率的な生産方法について、独自に開発したタンパク質の高効率発現系を開発・発展させることである。目的タンパク質を大腸菌に発現させる時に、乾燥ストレス耐性タンパク質をベースに設計したペプチド(LEAペプチド)を共発現させると、目的タンパク質の発現量が倍増することを研究代表者はこれまでに見出した。本手法は、目的タンパク質を高効率に発現させる手法として他にはない独特な技術である。本発現システムの実用化を念頭に、本年度は発現量が増大する新規ペプチドの探索をおこなった。 これまでの研究で、タンパク質発現量増大の効果が得られたLEAペプチド(AKDGTKEKAGE配列)は、その発現効率の増大が最大で2倍であった。実用化を図るうえで、発現効率の増大をこれまで以上にもたらす新規ペプチドを探索する必要性がある。LEAタンパク質は、規則性をもつ11アミノ酸が繰り返し存在する特徴的な親水性タンパク質である。その配列の特徴として一般的に、1,5,9番目に疎水基、3,7,11番目に負電荷基、6,8番目に正電荷基をもつアミノ酸を有する。これまでに設計・使用してきたLEAペプチドは5番目の配列が親水性であったため、疎水性を有するアミノ酸(ロイシン)に置換した新規LEAペプチドを設計し、目的のタンパク質と共発現させた。その結果、これまで得られていた発現量よりもさらにその発現量が増強された。 また、とくに規則性が求められていない4番目と10番目のアミノ酸配列に着目し、そこに変異を入れたペプチドライブラリーの設計を行い、それらを発現する共発現ライブラリーの構築を行った。
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