研究概要 |
高速・低速・混相流の統合解析新手法の提案を目指し,平成25年度は1)高速流れの衝撃波異常解と空力加熱,および2)混相流への拡張に焦点を当てた. 1)では,従来の我々の論文(Kitamura et al., AIAA Journal, 2009)では調査が不十分であった空間精度の影響について,数値実験を行った.その結果,1次精度で安定な数値流束は2次精度でも概ね安定であるものの,制限関数やそのパラメタも数値流束とほぼ同程度に解へ影響を及ぼす事が明らかとなった.またそれら様々な組み合わせの中から,比較的良い性能を示すものを提案した.例えば,AUSM+-upもしくはSLAU2(数値流束)と,minmod制限関数を用いたMUSCL(k=-1,基本量の内挿)である. 2)では,これらの数値流束(AUSM+-upおよびSLAU2)を2流体モデルによって混相流へ拡張した結果,有望な性質を示した.衝撃波の存在する場合や,現在でもモデル化が難しいとされるキャビテーションについても,計算を実行できる事を確認した.一方で,数値流束,空間精度やユーザ指定パラメタの選び方によっては計算が不安定となってしまうという課題も明らかとなり,これらの解決が今後の課題となる. なおこれらの研究の途中経過は平成25年度の国際会議で発表し,有識者らから有益なコメントを得た. また上記1),2)に共通して,本研究において導入したワークステーションを用いて効率的に数値計算を行った.3次元,非定常の問題についても今後の調査が必要であり,今後も同一のワークステーションで一貫して研究を進める.
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