研究課題/領域番号 |
25820414
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
小澤 宇志 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 研究開発本部, 研究員 (70567544)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 航空宇宙工学 / 希薄風洞 / 数値解析 / 希薄気体力学 / DSMC / 極超音速流 |
研究概要 |
極超音速希薄風洞(HRWT; Hypersonic Rarefied Wind Tunnel)実験と粒子数値解析(DSMC; direct simulation Monte Carlo)を融合することにより,極超音速希薄気体空力現象の観測手法の確立とともに,物質表面係数測定法を確立することが目的である.主な研究の成果を以下に示す. 1. 極超音速希薄風洞性能評価技術の向上:(1)極超音速希薄流計測用ピトー管を開発し,ピトー圧分布計測を行った.(2)吊り下げ式動圧計測と比較検証することにより,極超音速希薄流の評価技術が向上した.(3)極超音速希薄流の計測部における気流特性を計測(HRWT)-数値計算(DSMC)融合解析手法を用いて解明し,窒素ガス凝縮による影響等を評価した. 2. 極超音速希薄気体空力計測手法の確立:(1)球模型・平板模型を用い,CCDカメラを用いた二方向画像処理技術による表面適応係数手法を確立した.(2)エアロシェル形状の模型を用いた吊り下げ式極超音速希薄空力直接計測手法を確立した. 3. 計測(HRWT)-数値計算(DSMC)融合解析手法の確立とその結果判明したこと:(1)計測(HRWT)-数値計算(DSMC)融合解析手法を用いることにより,金属模型の表面熱適応係数決定精度が±0.1まで向上した.(2)エアロシェル模型を用いたHRWT直接計測を行い,クヌーセン数0.2の極超音速希薄領域まで計測と数値解析の比較検証が可能となった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
極超音速希薄流計測用ピトー管を開発し,HRWT計測部における気流のピトー圧分布計測を行った.また,吊り下げ式動圧計測と比較検証することにより,極超音速希薄流の評価技術が向上した.その結果,5mmクラスの模型を用いて,マッハ数10以上,クヌーセン数0.1以上の極超音速希薄領域における空力直接計測が可能であることが判明した.現在,複数のピトー管を用いて比較検証試験を行い,気流検定精度を向上させるとともに,希薄効果によるピトー圧補正モデルの改良を目指している. さらに,空力計測システムにおいては,CCDカメラを用いた二方向画像処理技術による表面適応係数手法を確立するとともに,エアロシェル形状の吊り下げ式模型を用いた極超音速希薄空力直接計測手法を確立した.計測(HRWT)-数値計算(DSMC)融合解析手法を用いることにより,ステンレス模型の表面熱適応係数の決定精度が±0.1まで向上した.
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今後の研究の推進方策 |
1. 複数のピトー管を用いて希薄領域のピトー圧分布比較検証試験を行い,希薄効果によるピトー圧補正モデルの改良および信頼性の向上を目指す. 2. 二方向CCDカメラ画像処理とレーザー変位計を組み合わせることにより,多自由度の変位計測システムを確立するとともにその評価手法を開発し,希薄空力・物質表面係数計測精度の向上を目指す.また,偏揺れモーメント以外のモーメントにより変位や回転評価に影響が及ばないように模型の吊り下げ方法を最適化する必要がある. 3. 複数の金属模型(ステンレス,アルミニウム製等)に加え,エアロシェル材質に含まれるようなカーボン系材料等の物質表面係数を計測し,表面適応係数の物質依存性を評価し,物質表面適応係数のモデル化を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
ピトー管,フランジ加工,計算機等の設備備品購入費や模型製作費等の費用に比べて残額が少ないため,次年度に繰り越して次年度予算と合わせて設備備品や模型等の必要な物品の購入を計画している. ピトー管,フランジ加工,計算機等の設備備品購入費および物質表面係数計測用模型の製作費等に使用する予定である.
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