研究課題/領域番号 |
25820415
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
渡邊 裕樹 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 情報・計算工学センター, 研究員 (30648390)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 宇宙推進 / 電子源 / ヘリコンプラズマ / プラズマ応用 / 電気推進 |
研究概要 |
平成25年度は既存の誘導結合プラズマ電子源に外部から磁場を印加し,その影響を実験的に評価した.その結果,磁場の有無により電子放出特性に変化が生じ,無磁場に比べ有磁場では,電子源から放出される電子電流量が増加し,また,電子を引き出すのに必要な電圧が低下することが確認された.加えて,放出される電子電流量を最大にする最適な印加磁場の強さが存在することが判明した.この最適な磁場を選択した状態で,磁場の有無による性能の比較を行うと,無磁場で1 Aの電流を電子源が放出するのに必要な電力が140 Wであったのに対して,有磁場では1 Aの電流を得るのに必要な電力が80 Wであった.この結果,誘導結合プラズマ電子源に外部から磁場を印加することにより,電子源の性能が向上することが判明した.しかし,有磁場下で電子源内部にヘリコン波が励起され,ヘリコン波プラズマ電子源として作動することによって,高い性能が得られているかどうか現状では確認できていない. 一方,実験と平行して,内部のプラズマ状況を把握するために,平成25年度は,2次元軸対象のFull-PIC法を用いた数値解析プログラムのコーディングを実施し,検証作業を完了した.しかし,今年度予定していたプログラムへの高周波放電モデルの組み込みは未完了であるため,平成26年度に早急に取り組む必要がある. 以上を踏まえ,平成26年度以降は,放電室内部でのヘリコン波による高密度プラズマ生成を確認するために,数値解析を併用しながら,新規に電子源を設計,製作し,性能評価試験を実施するとともに,内部のプラズマ物性計測を実施し,ヘリコン波プラズマ電子源の実現性を確認する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
数値解析プログラムへの高周波放電のモデルの組み込みが計画から遅れているため.これは,平成25年度末で所属機関が変更となったため,それに付随する予定していなかった採用手続きや異動手続きに時間を割いたためである.
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度以降は,放電室内部でのヘリコン波による高密度プラズマ生成を確認するために,数値解析を併用しながら,新規に電子源を設計,製作し,性能評価試験を実施するとともに,内部のプラズマ物性計測を実施し,ヘリコン波プラズマ電子源の実現性を確認する. 特に,平成26年度からは所属組織が大学となったため,学生の協力を得ながら,マンパワーを増やし,実験および数値解析を進める.
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