研究実績の概要 |
平成26年度はヘリコン波プラズマを放電室内に生成する前段階として,ヘリコン波の励起に適した管長の長い円筒放電室を用いた場合における磁場を印加しない状態での誘導結合プラズマ電子源の性能評価を行った.実験では,円筒放電室のアスペクト比(管長と管内径の比)を1,2,4と変更し,消費電力に対する放出電子電流を計測し,この結果,従来のアスペクト比1では1Aの電子電流を放出するのに140Wの電力が必要であったのに対して,アスペクト比2では120W,アスペクト比4では80Wと大幅な消費電力の低減が確認された.また,実験時に,大ガス流量,高引出電圧下において,急激にプラズマ抵抗が減少し,大放出電子電流が得られる作動モードを確認した.従来の作動モードにおいては2A程度までであった放出電子電流が,この作動モードにおいては10Aを超える電子電流の放出が確認され,大幅な電子源性能の向上が確認された.このモードでは作動が不安定,また,電子放出孔の強い損耗を発生することが確認され,物理現象を解明,これらの欠点を克服することが今後の課題として明確になった. 以上のアスペクト比の変更実験の成果を踏まえ,年度の終盤において,次年度以降にヘリコン波プラズマ電子源として評価する試作機の設計および製作を行った.これを踏まえ,平成27年度は試作電子源におけるヘリコンプラズマ生成を確認し,電子源性能評価を実施する予定である.
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