研究課題/領域番号 |
25820417
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
西田 祐也 東京大学, 生産技術研究所, 特任研究員 (60635209)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 鰭型推進機構 / 高出力関節機構 |
研究概要 |
鰭型推進機構によって高い遊泳性能を得るためには,模倣対象であるバッタと異なり2方向に瞬発動作を行う必要がある.限られた後脚腿節内の体積を有効活用し高い跳躍性能を得るため,バッタは主に跳躍エネルギを半月突起(弾性要素)に蓄積する伸筋の筋力を屈筋よりはるかに大きくしている.これにより自身の5以上の高さまの跳躍を実現できるだけの高い出力を発生できるが,瞬発動作は1方向(伸長)のみである.バッタが1方向しか瞬発動作ができないことは拮抗筋の筋力の差が主な要因である.外骨格であるバッタと違いロボットの場合,それほど体積に制限がないため拮抗する2つのアクチュエータのトルクを両方とも大きくできるがバックドライブアビリティが小さくなり瞬発動作の妨げになる.そこで本研究ではモータにカムを取付けるアクチュエータに非線形特性を持たせることでこの問題を解決した.外積が導出されるヤコビ行列をもとに提案した鰭型推進機構の瞬発動作時の出力を解析した結果,2方向ともに搭載しているアクチュエータの4倍以上の出力が得られることを示した. しかし,提案した鰭型推進機構(2方向瞬発動作)の出力はバッタ模倣型高出力関節機構(1方向瞬発動作)より半分以下の性能であることが分かった.トルクを大きくするために減速比を高くしなければならないが,減速比の2乗に比例して瞬発動作時の粘性抵抗が上昇するため,ある点で出力の上昇が頭打ちになる.粘性抵抗の問題を解決するため,本研究ではカムに従動節を用いたリリース機構を設けた.この機構により,瞬発動作時に妨げになる粘性抵抗を大きく減少させることが分かった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
出力特製解析の結果,粘性抵抗のせいで出力の向上が頭打ちになり鰭型鰭型推進機構は搭載アクチュエータの数倍程の出力しか得られないことが分かったため,申請書のスケジュールを変更し,バッタの後脚の詳細解析を行った.そのため,全体的に進捗が遅くなったが,より高い出力が得られる構造が分かった.
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今後の研究の推進方策 |
理論的にはほぼゼロの粘性抵抗を実現できるが,機械的な問題や想定できない問題があるか調べるため,粘性抵抗を大きく減少できるカムの授動節を用いたリリース機構のプロトタイプを作成し,出力特性を調べる.その後は,リリース機構の開発で得られた知見を踏まえ,研究計画通りに進めていく予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
出力特製解析の結果,粘性抵抗のせいで出力の向上が頭打ちになり鰭型推進機構は搭載アクチュエータの数倍程の出力しか得られないことが分かったため,鰭型推進機構の試作機の開発を進めずにその他の解析を進めた.その結果,25年度に予定していた試作機の開発費の費用が発生せず,次年度使用額が生じた. 鰭型推進機構の開発の前にカムの従動節を用いたリリース機構の開発を行うため,リリース機構に必要な物品を購入し,金物の加工を依頼する.その後,試作機用と実海域用の鰭型推進機構の開発に必要なアクチュエータ,電子回路・モータドライバなどを購入し,また金物の製作を依頼する予定である.
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