研究課題/領域番号 |
25820419
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
松本 洋平 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 助教 (80572081)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 船間情報共有 / 物体認識 |
研究概要 |
バイナリメッセージを用いたAIS非搭載船舶の情報の共有について 汐路丸と搭載艇汐路丸2号を用いてAIS非搭載船舶の情報共有実験を行った。予算減額の都合で2船を動員することはできなくなった為、汐路丸から汐路丸2号を捕捉し、汐路丸2号に搭載した簡易型AIS受信機を用いて、汐路丸がレーダーで補足している汐路丸2号(AIS非搭載船舶)を汐路丸2号でトラッキングすることに成功した。実験は2013年10月17日、2014年1月21日、2014年3月6日に行い、2014年1月21日を除いてはGPSが不調で行うことができなかった。当該実験は平成26年に実施予定であったが、レーダーの捕捉情報のみのAISバイナリメッセージでの共有はもう一つの研究課題である船舶画像認識の成功を待たずに達成可能であったため、実行した。これについては2014年5月22日の日本航海学会において発表する。 船舶画像認識について 研究を進める中で1マイルの距離で汐路丸2号のような小型船舶を検出するためにははより高い解像度のカメラか、多数のカメラが必要であることが分かった。[日本航海学会論文集Vol.129, pp.105-112, 2013]よって、現時点で最高解像度を有するデジタル1眼レフカメラを購入(別の資金にて)し、3度の実験航海にて画像データを収集、学習データを作成し、HOG-SVMの評価を行った。その結果、船舶は非常に多様な形状を持っているためさらなる工夫が必要であることが分かった。この結果はWAC2014にて発表することが決まっている。なお、現時点では船舶画像認識システムは3つの点で上記AIS非搭載船舶の情報共有実験に利用できる質にない。1つはカメラの解像度の不足、2つはフレームレートの不足、3つは検出精度の不足である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的の達成について 25年の計画にある画像認識のための正解データセットの作成及び、それを用いたHOG-SVMの評価は達成している。画像処理のハードウェアアルゴリズム化については、HOG-SVMの評価結果によると未だアルゴリズムが未成熟であるので行なっていない。一方、26年の計画の一部であるAISによるAIS非搭載船舶の情報共有実験を達成しており、これについては送信方式の選択等の新たな課題を生じているが、第一段階としては成功したといえる。 成果発表について HOG-SVMを用いた船舶画像認識の評価結果が日本航海学会論文集Vol.129,pp.105-112に掲載された。また、さらに高解像度のデータを用い物体検出の全プロセスを評価した結果がWAC2014に採択され2014年8月3日~7日に発表予定である。バイナリメッセージを用いた情報共有実験については、レーダーによって捕捉したAIS非搭載船舶の情報をAIS非搭載船舶で取得する実験にを行った結果を2014年5月22日の日本航海学会春季講演で発表することが決定している。
|
今後の研究の推進方策 |
バイナリメッセージを用いたAIS非搭載船舶情報の共有実験について 昨年度の実験で判明したことに、AISバイナリメッセージで情報を送信するにも、様々な方式が考えられ、かつ、それぞれに利害得失が考えられる。この点について、より深く検討を進めるとともに、近年AISに新しく加わったバイナリメッセージであるMessage 25、26の活用も検討する。特にMessage26は連続してデータを送信することが想定されており、本研究の用途に適合すると考えられる。また、より一般的に複数のAIS搭載船舶で捕捉したAIS非搭載船舶を1)ネットワーク負荷を極力抑え、2)ネットワーク内で途切れなく追尾することを可能とすることを目指すが、AIS搭載船舶を複数用いた実験を行うことは難しいため簡易なシミュレーション手法を開発する。本年度はバイナリメッセージの送受信特性に関する統計(距離、ネットワークの混雑状況に関する)を取得し、バイナリメッセージの送受信モデルを構築する。 船舶画像認識について 先に述べたとおり船舶画像認識に関しては3点の問題がある。その中で、船舶検出精度を向上するために、物体認識の最新のアルゴリズムを順次実装し評価する予定である。現在DPM(Deformable Part Model)の実装を行っているが、昨今はディープラーニングを適用したアルゴリズムの成功例が増えているため、これの適用も検討する。ディープラーニングは計算量が非常に多いため、GPGPU等を用いる必要があり研究協力者との連携を強化する。一方で、センサの解像度やフレームレートの不足については、多数のカメラを用意することで対応できるが、今回はその用意がないため、単独のカメラでの船舶画像認識をさらに追求することとする。
|
次年度の研究費の使用計画 |
国際会議への投稿が遅れた為。また、WAC2014の投稿に際して英文校正を行わなかった為。 クラスB AISトランスポンダの購入(45万円), GPSアンテナ・ケーブル(1万円)、AISアンテナ・ケーブル(1万円)、RS232C USB変換ケーブル(5千円)、収集したデータの保存の為のストレージサーバー(15万円)、ストレージサーバーのためのUPS電源(5万円)、WAC2014の発表(40万円), 国際誌投稿料(30万円), 日本航海学会論文投稿料(10万円) 以上で合計147.5万円
|