研究課題/領域番号 |
25820420
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
佐々木 秀次 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 助手 (00554958)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 舶用ディーゼル機関 / 粒子状物質 / 粒径分布 / 個数濃度 |
研究概要 |
舶用2ストロークディーゼル機関を運転し、ISO8178-1に準拠したフィルター計測にてPM重量濃度計測を実施した。また、同時にコールドダイリューションを行った粒子状物質のELPIによる計測、および、ホットダイリューションを行った粒子状物質のSMPSによる計測を実施した。供試機関は電子制御式の舶用2ストローク低速ディーゼル機関(3UEC33LS2-Eco)を使用し、機関運転には市販の低硫黄A重油(JIS1種1号)を用いた。実験の結果、以下の結果を得た。 ・フィルター計測によるPM重量濃度計測は、機関負荷率が高い程PM排出量は増加する。また排ガスの単位体積当たりのPM濃度も上昇する。PM捕集フィルターをソックスレー抽出し、ISF分、SOF分を分離し重量計測した結果、すべての負荷率でSOF分割合が7割以上であった。これらの結果は、カム式(機械式)機関で行われた既往の研究結果と、同様の傾向であった。 ・ELPIによる計測を実施した。この計測は小型希釈トンネルにて希釈率10程度で希釈した後、エゼクタ型希釈器にてさらに180倍程度の2次希釈を実施している。計測の結果、ELPIの分級範囲では最も小さい100nm以下で個数濃度のピークがあり、フィルター濃度計測結果からも判断できるとおり、核生成モードを生じる凝縮性物質(フィルター計測のSOF分と考えられる)が多いことを確認した。 ・SMPSによるホットダイリューションには、ロータリーディスク型希釈器を採用し、計測を実施した。すべての負荷率において、個数濃度のピークが約200-300nmの範囲となった。また、希釈率を変化させ計測した結果、高倍率領域においても、モード径の変化が確認されたことから、舶用ディーゼル機関においては、希釈後にも凝縮もしく凝集変化が頻繁に起こっていることが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の研究計画では、従来、舶用ディーゼル機関のPM計測の標準として行われてきたフィルター計測、とともに、同様の機関にて同様の負荷状態による、粒径分布計測が実施できている。次年度には、機関の運転状態として、シリンダ注油率、燃料油の硫黄濃度がPMおよび粒径分布に与える影響の把握を計画しており、これらの変化前のベースとなるデータを安定して計測できるサンプリング、計測器運用が構成、確認できたとともに、計測による変化要因が起きる状態を確認できたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度においても計画通りの研究実施を行う。 平成25年度に得られたデータでは、ホットダイリューション、コールドダイリューション、重量濃度計測、粒径分布計測を実施しており、機関運転により粒子状物質が生成され、排気管を通過し大気に放出される流れの、機関出口の排ガス高温状態の状況、それらの計測手法による計測結果の変化を確認した。 平成26年度では、計測手法の違いによる計測結果の変化要因を最初に把握する。その後、燃料油の硫黄分割合の変化、シリンダ注油量の変化が、計測結果に与える影響について調査することで、様々な条件時(様々な燃料オペレーション時)における粒子状物質の排出状況に関して把握を試みる。
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