研究課題/領域番号 |
25820421
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
西 佳樹 横浜国立大学, 工学研究院, 准教授 (70470052)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 再生可能エネルギー / 海洋エネルギー / 渦励振 |
研究概要 |
潮流のような流れから流体エネルギーを取り出し、エネルギー消費を賄う小型のシステムを開発するための実験的研究を行った。円柱の振動現象を利用する形状を採用した。 実験装置を設計および製作し水槽での実験を実施した。より多くの発電エネルギーを獲得できる様に下記の2つの工夫を施した:(1)円柱の並列配置 、(2)突起状物体(トリッピングロッド)の付加 (1)では、2つの円柱の中心間距離の円柱直径に対する比を1.30に設定した。実験の結果、固定された(振動が拘束された)円柱を下流側に設置したときに、換算流速が9以上になると振動が顕著に激しくなり、獲得できる電力エネルギーが大きくなることが見出された。また、この顕著な振動は広い範囲の換算流速で観察され、振動数が固有振動数に一致する現象(ロックイン)もまた、広い換算流速範囲で発生した。このことは、並列配置による顕著な振動が、より多くのエネルギーを、より多くの流速から獲得できることを意味している。我々は本現象を、2つの円柱に挟まれた部分に周囲よりも流速の大きな流れ(ギャップフロー)が形成され、その流れと振動円柱後方の渦との干渉により、正負圧力の差が大きくなる、という様に流体力学的に解釈した。 (2)では、トリッピングロッドは、その取りつけ角度が概ね60°~90°程度の場合に、揚力増大効果を有し、さらに振動を増大させる効果がある事が分かった。(1)と同様に、高い換算流速範囲(7~8以上)においてその効果が顕著であった。また、ロックインが広い範囲で起こることも(1)と共通点があった。トリッピングロッドによる強制的な流れの剥離により円柱後方の渦が強化されるためであると解釈した。 以上より、本研究で試した(1)と(2)の工夫は発電エネルギーの増大化のために有用な方法であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定では本年度は、実験装置の設計と製作が主要作業内容であった。大部分の設計は当初の思惑通りに進んだが、一部で製作困難と思われる箇所があることが判明したため、打ち合わせと再設計に想定以上の時間を使った。最終的に設計はうまくいき、今年度終盤には製作に取り掛かることができた。8割方完成した装置を水槽に設置し試運転することができた。それにより、軸受け部分の摩擦が予想外に大きかったこと、および円柱が流れによって流れ方向に押されるのを防止する部分の作りが不十分であったことが判明したので、改善した。 以上の作業により、平成26年度初めには再度の試運転を経て本格的計測に移行できる状態にもっていくことができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度に製作した新たな実験装置を本格稼働させることが平成26年度における主要な作業となる。回流水槽に装置を設置し、概ね想定通りの出力が出るかどうか目視で確認する試運転を行う。その後、計測機器(変位計)を導入し、円柱の振動変位を高精度で計測する。 流体力を受ける円柱と発電機との間に挿入する円柱(第2円柱)の効果が理論通りに検出されないことが想定される。計算の簡易化のために線形理論を用いた一方で、実現象の非線形性は無視できない程度の可能性がある。よって、計測スケジュールは、第2円柱の効果について想定通りのデータが取れないことを想定し、バネの交換を速やかに行えるように準備しておく予定である。
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