研究課題/領域番号 |
25820422
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
竹澤 晃弘 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10452608)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 海洋構造物 / セミアクティブ振動制御 / 構造最適化 |
研究概要 |
外部からのエネルギー供給なしに優れた制振効果を生み出すセルフパワード振動制御(SPVS) 装置が提案されているが,制御系設計の既存理論が適用できず,設計難易度が高いという問題点がある.本研究では,構造最適化法を活用し,海洋構造物に対するSPVS装置の最適設計法を構築することを目的とする.平成25年度は,SPVS装置の制振性能を向上させることを目的とし,数値計算でアクチュエータの最適配置を自動で導出することができる最適設計法を構築した.また,その手法で得られた最適解を,力学,制御工学の観点から再考察することで,SPVS装置の設計理論を検討した.具体的には,圧電素子は通常のアクティブ振動制御と同様に,支配的な振動モードにおける変形が大きい箇所に設置することが望ましいことがわかった.しかし,SPVS装置では,制御過程で圧電素子内において急激に電荷が変化するため,強い衝撃が発生し,その衝撃で新たな振動が励起されることもわかった.すなわち,この現象が起こるような条件下では,アクティブ制御装置の設計理論は応用できず,また,本年度で構築した最適設計法で得られた解も有効ではないことがわかった.この現象は,当初の研究計画では予見できておらず,今後これを回避するような手法の構築を行っていく必要がある.また,圧電素子以外にもコイルの特性が制御装置の性能に与える影響が大きいことがわかった.次年度においてはこれらを考慮した上で,水中での挙動に対応した,海洋構造物に応用可能なSPVS装置の最適設計法を構築していく.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初研究予定では,平成25年度中に水中でのSPVS装置の挙動検証を行う予定であった.しかし,研究実績の概要に記載したように,SPVS装置の設計における新たな課題が生じたため,そちらを優先した.
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度では,当初の研究計画にあるように,水中での挙動に対応した,海洋構造物に応用可能なSPVS装置の最適設計法を構築していく.そして,最終的には実験での検証を目指す.また,これと並行し,平成25年度に発見されたSPVS装置の問題点の対策を,対象構造物を限定しない汎用的なSPVS装置に対する研究として進めていく予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究で使用するソフトウェアの購入費用に他の研究費を充当したため,当初予算よりも支出が少なかった. 次年度分研究費と合算し,実験に必要なソフトウェア及び実験試料の購入に使用する予定である.
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