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2013 年度 実施状況報告書

プラズマ電位の二次元計測による構造形成と乱流輸送に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 25820441
研究種目

若手研究(B)

研究機関核融合科学研究所

研究代表者

清水 昭博  核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (00390633)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードヘリカル磁場配位 / 重イオンビームプローブ / 電位分布 / 二次元計測
研究概要

大型ヘリカル装置(LHD)において、重イオンビームプローブ(HIBP)装置を用いて二次元電位計測のためのシステムを構築した。HIBPで二次元計測を行うために、プローブビームのエネルギーを変更する必要がある。しかしLHDにおけるHIBPは、ビーム輸送ラインが20m程度と長いため、プローブビームエネルギーを変更するとビームラインの調整が必要となる。この調整にはかなりの時間を要するため、調整手法を自動化して迅速に行うためのシステムを開発した。ビーム輸送ラインには、静電偏向器、Qレンズ等、全部で14個の電源を調整する必要がある。これら全ての電源を一度に自動化することは困難であるため、最終段の2組の静電偏向器について、自動調整システムを構築した。具体的には、ビーム位置検出器であるビーム分布モニタ(BPM)の信号をPCで取り込み、ビーム輸送チェンバの中心位置からのビームのずれを評価し、それを修正するように静電偏向器の電源電圧を変更する。
ビームラインの特性を表す輸送行列は、理論的に導出可能である。しかしながら、ビームの幅、BPMの物理的制約や、ビーム収束特性の不確かさ等から理論式をそのまま使用して自動化を行うのは困難であった。そのため、実際の実験で用いるプローブビームエネルギーであらかじめ静電偏向器の特性を取得し、輸送行列を較正実験で得た後に、それを用いて自動調整システムを構築した。Qレンズに関しては、自動最適化は困難なため、システムの調整パラメータからは省いて、マニュアルで設定することにした。
以上のような自動調整システムを構築することによって、プローブビームエネルギーを変更するために必要な時間をこれまで20分程度要していたが、3分以内で終了することができるようになった。このシステムをLHDの実験に適用し、プローブビームエネルギーを変更して、電位の二次元分布を計測することに成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

重イオンビームの自動調整のアルゴリズムを検討し、PCを利用して調整装置を実際に作成した。現状で、2対の静電偏向器の電源電圧をパラメータとして、ビーム輸送ラインの調節が可能となり、LHD実験の放電間隔(3分)で調整できるようになった。LHDの実験にシステムを適用し、放電ごとにプローブビームのエネルギーを変更することによって、電位の二次元分布を計測することに成功した。S/N比の改善による二次元計測の精度の更なる向上が、今後の課題として残されている。

今後の研究の推進方策

現状のプローブビームの自動調整システムは、完全ではなく改善の余地がある。まず、ビーム輸送ラインの特性を表す輸送行列は較正実験から得ているが、充分な較正データを得ていない。また、較正結果と理論式との比較対応も不十分である。ビーム分布モニタの改良や、ノイズ低減の処置等もシステムの改善に有効である。今後は、これらの改善点を自動調整システムに適用し、システムの性能を更に高めることを計画している。
LHDの実験においては、二次元の平衡電位構造を計測することに成功した。しかしながら、共鳴磁場補正コイルの、プローブビームへの影響の評価が不十分であり、アイランド生成消滅と電場(フロー)の関係について十分なデータが得られていない。また、搖動に関してもS/N比の問題で、充分な精度で二次元搖動分布の情報を得られていない。今後はまず、共鳴磁場補正コイルの影響を評価し、電場及びフローがアイランド生成消滅に与える影響を調べる。更にイオン源を改良することによってS/N比を改善し、密度搖動及び電位搖動に関して二次元構造を計測する。そこの実験を通して、乱流及び輸送と電位のメゾスケールの二次元構造に関して物理研究を進める予定である。

次年度の研究費の使用計画

今年度は、プローブビームの自動調整システムを構築するための機器、PCやADCボードを購入する予定であったが、新規購入は見送り現状の設備で他から流用できるものを使用した。今年度は、共同研究で別の予算により3カ月の米国出張を実施したため、新規システム設計のための十分な時間が確保できなかったためと、購入前に機器の性能を把握する必要があったことが、物品購入を控えたことの主な理由である。現状の設備で、ADCの特性やPCの計算速度を十分評価できたので、その特性を参考に今後新しくPCとADCボードを購入し、ビームの自動調整システムを新たに構築する予定である。
高速のPC及びADCボードを購入し、プローブビーム自動調整システムを構築する。更に、ビーム分布モニタを改良し、ビーム位置のダイナミック領域の拡大を目指す。同時に、ビーム分布モニタのノイズが、自動調整の障害となっているのでノイズの原因を突き止め、ノイズ低減のための改良を施す。現状から、システムの更なる改善、特にシステムの堅牢性と時間短縮が期待できる。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Bifurcation-Like Behavior of Electrostatic Potential in LHD2013

    • 著者名/発表者名
      A. Shimizu, T. Ido, M. Nishiura, R. Makino, M. Yokoyama, H. Takahashi, H. Igami, Y. Yoshimura et al.
    • 雑誌名

      Plasma and Fusion Research

      巻: 8 ページ: 2402122-1-5

    • DOI

      10.1585/pfr.8.2402122

    • 査読あり
  • [学会発表] Temporal behavior of electrostatic potential in the LHD2013

    • 著者名/発表者名
      A. Shimizu, T. Ido, M. Nishiura, R. Makino, M. Kurachi, T. Tokuzawa et al.
    • 学会等名
      23rd International Toki Conference
    • 発表場所
      Toki, Japan
    • 年月日
      20131118-20131121
  • [学会発表] Temporal behavior of electrostatic potential measured with HIBP in the LHD2013

    • 著者名/発表者名
      A. Shimizu, T. Ido, M. Nishiura, R. Makino, M. Kurachi, T. Tokuzawa, M. Yokoyama, H. Takahashi, H. Igami, Y. Yoshimura et al.
    • 学会等名
      9th Asia Plasma and Fusion Association Conference
    • 発表場所
      Gyeongju, Korea
    • 年月日
      20131105-20131108
  • [学会発表] The temporal behavior of electrostatic potential and bifurcation property in LHD2013

    • 著者名/発表者名
      A. Shimizu, T. Ido, M. Nishiura, R. Makino, M. Kurachi, T. Tokuzawa, M. Yokoyama et al.
    • 学会等名
      Joint 19th ISHW and 16th IEA-RFP workshop
    • 発表場所
      Padova, Italy
    • 年月日
      20130916-20130920
  • [学会発表] The temporal behavior of electrostatic potential and bifurcation property in LHD2013

    • 著者名/発表者名
      A. Shimizu, T. Ido, M. Nishiura, R. Makino, M. Kurachi, T. Tokuzawa, M. Yokoyama et al.
    • 学会等名
      The 12th Asia Pacific Physics Conference
    • 発表場所
      Chiba, Japan
    • 年月日
      20130714-20130719

URL: 

公開日: 2015-05-28  

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