研究課題
本研究計画の中核をなす流体型輸送コードASK/TXの開発に成功し、コード内の修正を繰り返すことでより完成度が高まった。既存の拡散型輸送コードと異なり二流体方程式系に基づくTASK/TXは多くの物理現象を再現できる特徴を持つ。外部の新古典輸送コードなしに多岐に渡る新古典輸送現象を再現する事ができ、ベンチマークによってその妥当性が確認された。これらの成果は論文にまとめられ出版されるとともに、プラズマ・核融合学会年会において口頭発表した。また、高速ビーム粒子に対するモデリングを拡張することで、ビームの入射方向の違いによる粒子輸送の向きの違い、すなわち密度ピーキング・ブロードニング現象が新古典輸送によって生じることを明らかにし、実験観測結果と定性的に一致していることを確認した。トカマクプラズマの回転を左右する自発的なトルクに、非軸対称性の磁場摂動が引き起こす新古典トロイダル粘性(NTV)と乱流に関連する残留応力があり、それらは核融合炉においてとりわけ重要となる。NTVについては電子とイオンが作るNTVの違いについて調べるとともに、ITERで挿加されるトリチウム増殖モジュール(TBM)が作るトロイダル方向に不均一な静的磁場摂動に起因するNTVや、JT-60SAにおいて外部コイルによって印加する摂動磁場が作るNTVを定量的に評価した。その結果、ITERでのTBMの挿加は回転に対して大きな影響を与えうるNTVを生んでいることが分かる一方、JT-60SAにおいては10kAのコイル電流が作る摂動磁場はNTVに大きな影響を与えないことが明らかとなった。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
Nuclear Fusion
巻: 57 ページ: 022011(10pp)
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Computer Physics Communications
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