放射線による生体分子の損傷を高感度・簡便に検出する手法として、オリゴヌクレオチドを蛍光物質とクエンチング物質で修飾したサンプルを用い、放射線による損傷量を蛍光分光光度計で読みとり評価する手法について研究した。10mGy‐1000mGyのヘリウム粒子線およびガンマ線を照射した場合、吸収線量の増加に伴って蛍光物質の蛍光強度が上昇していることが示された。これはオリゴヌクレオチドの切断により、エンチング効果が抑制され、蛍光物質の蛍光ピークが上昇することを意味するものである。一方、線種によらず50mGy以上では蛍光強度が一定となる結果が得られた。要因として蛍光物質の放射線分解などの理由が考えられる。
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