環状噴霧流における液膜―液滴相互作用を調べるために、気液界面測定法の高度化を行った。本研究で使用した高速電気伝導率計測システムは、アナログ出力部、センサ部、受信回路部、アナログ入力部から成り、前年度に構築した本システムに対して、受信回路部におけるI-V変換用回路の改良を行い、検出信号に対するSN比の向上を図った。また、多層プリント基板技術によって作成した電気伝導式液膜センサに対して、レーザー変位計を利用した動的な校正方法を適用し、液膜厚さ算出における精度向上を行った。さらに、中性子ラジオグラフィ法における取得画像のノイズ低減のために、高いノイズ低減効果とエッジ保存特性を有するNon-local meansフィルタを3次元空間へ拡張し、高度な時空間フィルタリング法を確立した。そして、狭隘流路内における空気―水系気液二相流に対して、液膜センサと中性子ラジオグラフィ法による複合計測手法を適用し、それぞれによって得られた計測結果を組み合わせることで気液界面構造の詳細計測を可能にした。 また、界面追跡法(VOF法)による気液界面挙動の数値計算方法の確立のために、オープンソースCFDツールであるOpenFOAMを用い、傾斜平板上の流下液膜流の解析を行った。条件の違いによる壁面上の液膜厚さの時間的変化を調べた。しかしながら、実験との検証が不十分であるため、今後、液膜計測センサによる計測結果と比較を行い、液膜―液滴相互作用に関する解析を進める必要がある。
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