研究課題/領域番号 |
25830012
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
池添 貢司 大阪大学, 生命機能研究科, 特任助教(常勤) (10596430)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 両眼視差 / 2光子顕微鏡 / 生体イメージング / 霊長類大脳皮質 / 方位選択性 |
研究概要 |
霊長類の2つの眼は左右に離れて位置しており、眼に投影される像は左右の眼の間で位置ずれを持っている。この位置ずれのことは両眼視差と呼ばれ、これに基づいて奥行きを知覚することができる。両眼視差の情報は、大脳皮質内の2つの経路で処理されている。それぞれの経路の神経細胞は両眼視差のうち異なる属性を符号化しているが、その違いを生み出す神経回路は不明である。本研究ではこの神経回路を、2光子顕微鏡を用いた生体内イメージングをマカカ属サルの視覚野に適用し、個々の神経細胞の両眼視差への応答特性と解剖学構造を調べることによって解明する。本年度は、神経細胞の視覚応答を計測するための2光子カルシウムイメージング法をサルの視覚野で確立することを目的とした。 研究の結果、サル視覚野への2光子カルシウムイメージング法の適用技術を確立し、一次視覚野(V1)における方位選択性地図を単一細胞レベルで可視化することに成功した。 方位選択性は細胞に最大の応答を引き起こす方位(最適方位)と最適方位と異なる方位に対してどの程度強く応答するか(方位選択性の強さ)の2つで特徴づけることができる。2光子カルシウムイメージングを用いて、近接して存在する細胞群の方位選択性を解析したところ、近接したV1細胞は、似た最適方位を持つだけでなく、似た方位選択性を持っていた。異なる最適方位をもつ細胞が集合している領域では、個々の細胞の方位選択性は弱かった。一方で、似た最適方位をもつ細胞が集合している領域では、細胞はさまざまな強さの方位選択性を示した。近接している細胞が異なる最適方位を持つ場合、それらの方位選択性が弱いという結果は、近くにある細胞同士がそれぞれの最適方位に関わらず相互作用をもち、それぞれの方位選択性の形成に関与していることを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2光子カルシウムイメージングを用いて、サル視覚野の細胞集団の視覚刺激に対する応答を計測する技術を確立した。 本成果をJournal of Neuroscience誌に発表した。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画にほぼ沿ってこのまま研究を推進していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
所属する研究室の引っ越しに伴い発生した問題のために、5か月程度の実験が遂行できない期間が生じたため、使用額が予定よりも少なくなった。 本年度の引っ越しのために行うことができなかった実験を次年度に行うので、実験用消耗品などの購入が増加する。この購入に当該助成金を充てる。
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