シナプス結合選択性の分子機序の解明は、脳の理解や医療を見据えた基礎研究として重要だが、中枢神経系では不十分である。申請者は、全シナプス結合が既知の唯一のモデル生物 線虫を対象に、重要行動の逃避のシナプス形成機構を解析した。まず、神経系に発現する転写因子217 種類を解析し、逃避に関わる18 種類の候補を得た。中でも、lin-32(atonalホモログ)について、選択的な電気シナプス形成異常を見出した。哺乳動物では、atonalホモログと電気シナプスが聴神経機能に関わり、関連が示唆される。本研究は、今後、普遍的な分子機序を明らかにできると期待される。
|