研究課題
若手研究(B)
本研究は、マウスが特定の空間に置かれた物体を記憶するときに、それぞれの情報をコードする海馬の細胞集団の間でひき起こされる可塑的変化を、仮想現実 (VR) 環境下のin vivo二光子カルシウムイメージング実験と電気生理学的実験で明らかにする。本年度は、マウスが特定の空間に置かれた物体を記憶するときに、それぞれの情報をコードする海馬の細胞集団の間でひき起こされる可塑的変化調べるため、一次元のVR環境を作成し、イメージング実験を行った。この課題で、直線路の外にはマウスから見える3つの高い手がかりを、直線路内の壁にはドット状、床には縞々の模様の手がかりを表示した。また、VR直線路内の一部に物体に対応する壁と床に緑で示された手がかりを設置した。マウスは直線路の一方の端から歩き始め、もう一方の端に辿り着くとマウスは自動的にスタート地点に戻る。マウスは回転して戻らずに済むので、課題を単純化することができる。手がかりの位置で2秒滞在すると報酬が与えられる課題をマウスにさせたところ、マウスはその物体のある場所に遅延時間の間、滞在することを学習できた。さらに、手がかりを移動すると、マウスはすぐにその場所に滞在することを再学習することができた。行動中のマウス海馬の活動をイメージングしたとき、場所特異的に活動を起こす細胞集合体と手がかりの位置で止まっているときに場所―物体特異的に発火する細胞集合体も発見することができた。
2: おおむね順調に進展している
空間課題、物体課題ともにマウスに行動を行わせたが、物体課題でマウスが物体に辿りつく成功率は低かった。解決策として、新しい課題を作成したので、若干の遅れが生じた、しかしながら、新規の課題では、マウスは物体に対応する手がかりのある場所を学習し、海馬イメージングから場所特異的および場所-物体特異的な細胞の集合体を同定に成功したことから、研究は若干の遅れは見られるものの、おおむね順調に進展していると考えられる。
物体特異的な細胞がまだ同定されていない。物体手がかりを移動させ、その移動前後の場所を記録して比較することにより、物体特異的に活動を示す細胞を同定する。同定された「場所細胞」と「物体細胞」へin vivoホールセルパッチクランプ法を適用することにより、場所細胞が物体の提示から受ける電気生理学的な影響を、静止膜電位、スパイク発火のタイミングと速度、バーストの有無などに注目して細胞レベルで明らかにする。
すべて 2014 2013
すべて 学会発表 (5件)