研究課題/領域番号 |
25830025
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
小見 悠介 独立行政法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 研究員 (20565999)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 光ピンセット |
研究概要 |
カリフォルニア大学バークレー校にあるBustamanteラボに赴き(5月~8月、11月~2月)、光ピンセット法を用いて天然変性タンパク質である酵母プリオンSup35NMモノマー一分子を用いて一分子力学計測を行い、Sup35NMモノマー一分子のコンフォメーション空間の解析を行った。力学計測より得られたフォースカーブを解析した結果、Sup35NMモノマー一分子が、4つのサブドメインからなる構造を持つことを示唆するデータを得た。また、アミロイド性の異なるS17R変異体は、野生型とは異なり、弱い力で構造変化の起こる一分子構造を取っていることも明らかにした。これらのデータをまとめて、HFSPのミーティング(10月、埼玉)や、日本生物物理学会(10月、京都)にて発表を行った。また、1M NaCl存在下におけるSup35NMモノマー一分子の構造が、NaClの非存在下とは異なる構造へと変化することも観察できた。さらに、測定溶液中にSup35NMモノマーを加えたときのSup35NMモノマー一分子の力学計測を行った結果、Sup35NMモノマー存在下では、モノマーの非存在下と比較して、Sup35NMモノマー一分子の構造が、より小さな、よりコンパクトな構造へと変化することが観察された。この変化は測定溶液中に加えるモノマーの種類を、野生型からアミロイド性の異なるS17R変異体に代えると、異なる構造をとることが観察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
光ピンセットを用いて、天然変性タンパク質Sup35NMモノマー一分子における構造の不均一性を確認することができた。また、Sup35NMモノマー一分子の構造が4つのサブドメインからなることや、測定溶液中のNaClやSup35NMモノマーの存在下で、Sup35NMモノマー一分子の構造が変化することを見出した。さらに、野生型Sup35NMとアミロイド性の異なるS17R変異体では異なるモノマー一分子の構造をとっていることがわかった。研究結果をまとめ、学会等で発表した。
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今後の研究の推進方策 |
光ピンセットを用いた一分子力学測定を行い、Sup35NM一分子のコンフォメーション空間の解析を行う。測定溶液中での長さの異なるSup35NMモノマーの存在、非存在下でSup35NM の一分子力学計測を行い、Sup35NMオリゴマー開始領域を同定する。Sup35NM のペプチドを作製し、ペプチドの測定溶液中存在下でSup35NMの一分子の力学計測を行い、オリゴマー開始領域を明らかにする。Sup35NMアミロイドをリボソームで保護した微粒子を作製し、測定緩衝液中に加える。Sup35NMを光ピンセットにより引っ張り、一分子力学計測後、アミロイド‐リボソーム粒子を特定の波長の光で壊し、アミロイドをSup35NM一分子に作用させる。アミロイドの結合前と後のフォースカーブを解析することで、アミロイド形成時のSup35NM一分子の構造変化を解析する。Sup35nMの野生型とアミロイド性の異なる変異体S17RやG58Dとの比較をすることで、一分子構造とアミロイド性の違いを関連づける。また、光ピンセット法とFRET解析を組み合わせた実験の準備(およびそれを用いてSup35NM一分子の構造を解析する。得られたデータをまとめ、生物物理学会や分子生物学会等での発表や、論文化し投稿する。
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次年度の研究費の使用計画 |
購入先を精査した結果、予想より安く購入できたため 追加の消耗品として使用予定
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